第85話

【最終話】ただいま
351
2026/05/23 12:44 更新
(霊夢side)
紫のスキマで、永遠亭に着いた私たち。
突然の大勢の怪我人に、永琳と鈴仙はかなり驚いていた。
皆ボロボロであったが、私たちはあなたの治療を最優先で行うように伝えた。
声をかけても返事しないし…どんどん呼吸が…弱くなっていっていたから。
そして数時間に及ぶ手術により、あなたは…、
博麗 霊夢
永琳!あなたは!?あなたは…!!
八意 永琳
落ち着きなさい
八意 永琳
…大丈夫。ギリギリだったけど一命は取り留めたわ。
永琳からの言葉に、私たちは全員安堵して喜んだ。
八意 永琳
ただ…
永琳が少し暗い表情になり、全員固まって聞く。
フランドール・スカーレット
た…ただ…?
鈴仙
いつ目を覚ますのかが…我々でもわからない状態なのです。
手術を終えたあなたを病室に運び終えた鈴仙が、丁度戻ってきて言った。
鈴仙
すぐに目覚めるのか…時間がかかるのか…それとも一生このままなのかが…
古明地 こいし
…そんな
鈴仙からの言葉に、一同は俯く。…でも、私は。






















































博麗 霊夢
…大丈夫よ
霧雨 魔理沙
…霊夢
博麗 霊夢
あの子の命がある…それだけでいい。
博麗 霊夢
それにあの子は…約束をまだ果たしていない。だから…そんなに何年もかからないとは…思うから。
八意 永琳
…博麗の巫女…いや、母親の勘かしら?
永琳は穏やかに笑いながら、そう言った。
…私は、いつまでも待ち続ける。
あの子が目を覚ました瞬間…平和な日常に皆で帰ってこられたんだって…思えるように。
…あれから、2ヶ月が経った。
あなた
 
あなたは未だに永遠亭のベッドで静かに眠っている。
…私は、この二ヶ月間あなたがいない博麗神社での生活をとても寂しく感じていた。
ご飯を食べるのも一人、
家事をするのだって一人、
縁側でお茶や茶菓子を嗜むのも一人、
…あなたと出会う前までは、こんなの当たり前だったことだったと言うのに。
…それほどあなたは、私にとって大きな存在だったんだなと、改めて気づかされる。
博麗 霊夢
……。
…私は毎日欠かさずあなたの見舞いに来ていた。
あなたの手を握り、あなたのほんの少しの変化も見逃さないように見守る。
そしてなにか面白い土産話があったら…聞こえていると信じて話す。
そんな二ヶ月間を送っていた。
ガラッ…
博麗 霊夢
…あ
病室のドアが開かれる音がして振り返ると、
そこにはレミリアとフランのスカーレット姉妹、
そしてさとりとこいしの古明地姉妹がいた。
フランとこいしは私とここのところ行動は同じ。
姉のレミリアとさとりが来るのは珍しかった。
レミリア・スカーレット
やはり貴方はもう来てたのね、霊夢
博麗 霊夢
えぇ、そりゃあね…娘の見舞いに来ない母親がいてたまるもんですか
フランドール・スカーレット
おはよう…あなた
古明地 こいし
って…またお寝坊さんかぁ
そんな会話をしてる間に、フランとこいしは私と向かい合わせになるようにあなたのベッド横に座って、私と同じように手を握る。
古明地 さとり
…見舞いの花を持ってきました。
飾らせて貰いますね。
博麗 霊夢
…えぇ
あなたの病室の窓に、さとりは見舞いの花を花瓶にいけて飾る。
博麗 霊夢
…姉のアンタらが来るのは珍しいわね
レミリア・スカーレット
まぁ二人とも主だからね。
なかなか離れられなかったのよ。
古明地 さとり
今日やっと休暇をとれたので…
古明地 さとり
…妹の親友であり恩人ですからね。
遅くなってしまって申し訳ないです。
博麗 霊夢
いいのよ。多忙のなかで来てくれるだけでもありがたいから。
そんな話をして会話が止まってしまって静かになる。
聞こえるのは心拍を計る機械の音と、鳥の囀りだけだった。
ガラッ
するとその沈黙を破るようにまた扉が開く。
霧雨 魔理沙
よっ
来たのは、私の親友である魔理沙だった。
博麗 霊夢
魔理沙
霧雨 魔理沙
相変わらずスヤスヤと気持ち良さそうに寝てるよなぁ~コイツ~
そう明るく言いながら、魔理沙は私の隣に椅子を持ってきて座る。
霧雨 魔理沙
心配してるのは私達みたいな身内だけじゃあないってのによぉ~
博麗 霊夢
え?
その言葉に私は、目を丸くする。
霧雨 魔理沙
なんだ霊夢、知らないのか?…って、そうか…お前ここのところ緊急の雑魚妖怪退治以外は基本ここにいたもんなぁ。
フランドール・スカーレット
あなた、有名人なの?
霧雨 魔理沙
あぁ、珍しく文の新聞が役に立ってな
霧雨 魔理沙
『厄災の堕天使を封印した英雄の巫女は、なんと博麗の巫女の娘!!』だってよ
魔理沙はその実際の新聞を広げて見せた。
霧雨 魔理沙
あなたはあの大会の時点で有名人だったからな…地味にあの時既にファンもいたみたいだぜ?
霧雨 魔理沙
しかも今人里の奴からは、“代理娘様”なんて二つ名で呼ばれてるみたいだし
魔理沙からの話に、私達はプッと吹き出す。
博麗 霊夢
代理娘様って(笑)
自分の娘が、身内だけじゃなく世界に愛されてるとは思わなかった。
…私はそれを、嬉しく思った。
魔理沙のこの明るさには今は助かる。
正直先程までは全員しんみりしてしまってたから。
ガラッ
キラ
おー邪魔シマウマパッパラパ~
ザキ
なんだそれ
紫霊
前ルビーが眠ってた時も
やってたよなお前それ
ルビー
こんな掛け声で見舞いに来られてたのか
紅葉
もぉ、キラが変なこと言うから騒がしくなったじゃん
キラ
酷くない?
流れるように漫才のような会話をしながら入ってきたのは、キラ達五人組。
…そういえば、最初に友達と言うものになろうとしてくれたのはこの子らだったっけ。
レミリア・スカーレット
あーらら、また騒がしくなりそうねぇ
紫霊
お?紅魔館で見かけないと思ったらここにいたのか
レミリア・スカーレット
妹の親友であり恩人であり仲間よ?
忙しくて来られなかっただけでちゃんと来るわよ
レミリア・スカーレット
ていうか、アンタだってここんとこ仕事抜けてまでここに来てるじゃないの。
紫霊
ギクッ
レミリアからの言葉が図星なのか、紫霊はごまかそうとあからさまに目をそらす。
ルビー
へぇ?普段サボり気味ではあるが、抜け出してまでこんな遠いとこまで…へぇ?
紫霊
ニヤニヤすんな!!
…なんか段々と、あの戦いで戦ったメンバーが集まってきたわね。
妖夢は幽々子のことで多忙だろうし…パチュリーも図書館か。
博麗 霊夢
…あなた
私は、あなたの手をまた握って語りかける。
談笑している皆にはうっすらとしか聞こえないであろう小さな声で。
博麗 霊夢
今日はいつもより、多くの人がお見舞いに来てるのよ。
博麗 霊夢
…ほら、賑やかでしょ?…だから…ッ
霧雨 魔理沙
!!
…あぁ、やっぱりダメだ。
皆の前では、泣きたくなかったのになぁ。































































































































































































博麗 霊夢
…早く…起きてよぉ…ッ
私は涙を流しながらそう言った。
皆、私が泣いてるのがわかったのか、周りは一気に静かになる。
フランドール・スカーレット
…霊夢
古明地 こいし
……。
そして握っているあなたの手に、私の涙の雫が落ちたー。






















































































































































































































































































































































































































































































































…ぎゅ
博麗 霊夢
…え?
気のせいだろうか…今僅かにあなたの手が、私の手を握り返してくれたような…。
フランドール・スカーレット
い、今…!!
古明地 こいし
手…握ってくれたよね?
博麗 霊夢
!!
反対側の手を握っていたフランとこいしも、互いの顔を見合わせてそう言った。
…ということは、気のせいなんかじゃあないんだ。
皆がその言葉に反応して、あなたの顔を覗き込む。
あなた
………………………………………………………………
一同『!!』

















































































































































































































































































































































あなた
……………………………パチッ
博麗 霊夢
!!!
フランドール・スカーレット
あなたのキラ➡️キ…!!
古明地 こいし
あなた…ちゃん…!!
…開いた…!!…ついに、あなたの綺麗な瞳が…!!
あなた
……………!?
ガバッ!!
するとあなたは急にハッと目を見開いて起き上がった。そしてゆっくりと、周りにいる皆や景色を見渡し始める。
キラ
…あなた…!!
ザキ
…やっと起きたか
紅葉
良かった…本当に…!!
紫霊
全く、寝坊もいいところだな
ルビー
フッ…本当にな
皆笑顔になって、
涙を目に貯めながらあなたの目覚めを祝した。
霧雨 魔理沙
いやーほんと二ヶ月はさすがに寝す…
霧雨 魔理沙
ぎ…?






























































































































あなた
。・゜・(;;)・゜・。
一同『ギョッ!?( ; ロ)゚ ゚』
突然あなたは、固まって動かないまま涙をポロポロと流し始めた。
何粒か溢れた後にようやく自分が泣いてることに気づいたのか、頬に伝う涙に触れる。
フランドール・スカーレット
え、ちょ、あなた!?💦
古明地 こいし
ど、どどどうしたの!?💦
博麗 霊夢
ど、どこか痛いの?大丈夫!?💦
(あなたside)





















































































































































































































































































































































































…あれ?
どこだ…ここ…。
たしか私は…ルシファーを…お母さんと一緒に封印して…その後に…血を吐いて…気を失っちゃって…。
あなた
…それから…、?
…ダメだ、その後を何も思い出せないや。
『……。』
あなた
…ん?
なんだ…誰かの…声が聞こえる…?
博麗 霊夢
……ら、………でし…?……ら…ッ
あなた
ッ…!!
あなた
…お母…、さ…!!
博麗 霊夢
早く…起きてよぉ…ッ
あなた
お母さん!!
そうだ…戻らないと…皆との約束を…守らないと…!!
そして私は気づいたら、
目の前に現れた一筋の光に手を伸ばしていてー。
ーポチャン
…なにか、水のようなものが手に垂れてきた感覚がして私は手に力を込める。
…私はなにかに…誰かに手を…握られている…?
あなた
………………………………………………………………
そして段々とわかってきた。
私は今どこかのベッドに寝かされているんだと。
あなた
……………………………パチッ
重たい目蓋を開けると、誰かが私の顔を覗いている。
段々と視界が鮮明になり、目の前にいたのは…
お母さん、フラン、こいしだった。
そしてよく見ると天井は前にも来たことがある…
永遠亭の病室の天井だ。
永遠亭…お母さん…フランと…こいし…。
………………………………………………………………………………………。
・・・ん?戻ってるの?幻想郷…に…!?
あなた
……………!?
私はあまりの事態に混乱して、思わずガバッと起き上がる。
突然起き上がって当然驚いたのか、周りにいる魔理沙さんやキラ達は口を開けて驚いていた。
が、すぐに安心したかのような穏やかな表情になり…
キラ
あなた…!!
ザキ
…やっとお目覚めか
紅葉
良かった…本当に…!!
紫霊
ったく、寝坊もいいところだな
ルビー
フッ…本当にな
…皆、私が目を覚ましたのを喜んでくれている。
…そうか、私は戻ってこられたんだ…。
私がずっと望んでいた皆と笑い会える平和な日常に。
…私はまだ、夢を叶えられるんだ。
…私はまだ、皆と笑い会えるんだ。
…私はまだ、生きているんだ。
霧雨 魔理沙
いやーほんと、二ヶ月なんて寝す…
霧雨 魔理沙
ぎ…?
すると皆が、私の顔を見て固まった。
そしてなにやら急にオロオロと慌て始める。
あなた
(あれ?皆、急にどうしたんだろう…)
あなた
(………え?)
すると、視界がぼやけたと思ったら、
頬になにかが伝うような感覚がした。
そう、まるでキラ達と初めて出会ったあの時みたいに
…だけど今だけは、これがなんなのかも、これを流している理由も…あの時とは違ってハッキリとわかる。
フランドール・スカーレット
え、ちょ、あなた!?💦
古明地 こいし
ど、どどどうしたの!?💦
博麗 霊夢
ど、どこか痛いの?大丈夫!?💦
…本当はすぐに答えたかった。
どこか痛くて泣いてるんじゃないんだって。
だけど…胸が段々熱くなっていって…しゃくりあげてしまって…うまく声が出せなくて…ついには…。
あなた
うぅ………うあッ………あ……ああぁっ…ッ
情けない声を出しながら、泣き出してしまった。
涙で視界が悪くなってるけれど、
皆が更にあわてふためいてしまっている。
霧雨 魔理沙
泣ッッッ!?
キラ
ちょ、ちょちょちょちょい!?💦
紅葉
ど、どどどどうしよう!
あなたがなんか泣いちゃった!💦
紫霊
ま、まさかどこか痛いのか!?
ルビー
今すぐ八意を…!!
あなた
ち、違う………違、くてぇ……ッ
私はなんとか声を出して言い始める。
あなた
あの”ッ…その”ッ…ッ
私はしゃくりながら、涙を必死で拭いながらなんとか声を出した。
あなた
私…ちゃんと…ヒグッ…生き、てるんだって…ッ
あなた
ちゃんと…元の…日常に…
戻って、こられたんだって…ヒック
あなた
また…皆と笑い会えるんだって…
そう…目を覚まして再確認したら…ッ
あなた
嬉しいのと…安心したのが…なんだか…一気にわかって…安心しちゃって…ッ
あなた
それだけじゃ、なくてさぁ…ッ
あなた
今まで…あの家で過ごしてた日々が…辛くて…痛くて…悲しくて…苦しかったんだってことも…改めてわかっちゃって…
あなた
なんがッ…色々…気持ちが…ぐちゃぐちゃで…めちゃくちゃになっちゃって…うぅ…
あなた
うわあああああああああぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ…!!
私はついに、医療施設の中だというのに、皆がいるのに泣き叫んでしまった。
博麗 霊夢
…うん、そうよね
そう言ってお母さんは、私を優しく抱きしめる。
そして暖かい手で、頭を優しく撫でてくれる。































































博麗 霊夢
おかえり…あなた
あなた
…ただいま…ニコッ





























































































































           次回





















































































































































































       “真相解明編”、開幕ー。

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