第167話

コネシマにとっての“最善”
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2024/06/02 10:36 更新
どうも皆さんこんにちわ!コネシマです!今の状況は…
グルッペン
新しい兵士が来たんだが…知り合いか?
グルッペンにショッピくんの履歴書見せられてますね!俺と出身地からなにから全部違うのになんで俺に聞くんですか!?
…そう言う俺も入軍試験で提出したのは偽造しまくりのやつやったわ
いやでも、俺が適当に書いたヤツとも被ってへんしな
コネシマ
いやぁ知りませんね!誰ですかショッピって!
グルッペン
…そうか、知らないか
グルッペン
なら、良いんだが……
コネシマ
やけど、グルッペンが新人に興味持つなんて珍しいなぁ!なんや、なんかあるんかコイツ?
グルッペンが興味を持った理由とショッピがここに入隊する理由を知りたいがために話を続ける
グルッペン
いや…実技が他の一般兵よりずば抜けていてな、まだ荒削りな所はあるが幹部クラスに匹敵すると考えていてな
コネシマ
…幹部にするんか!?こんな怪しいヤツを!?
イヤイヤイヤ、こんなん100スパイで100俺を殺しに来てるやん!いや俺も大分怪しい入隊したけども!俺はただの逃亡やからね!?スパイしに来たわけやないから!隠れ蓑に使っとるだけやから!
グルッペン
お前がそれを言うか
なんか微妙にバレてる気がするし!
コネシマ
スパイしに来とらんのは流石に分かるやろ!?
グルッペン
まあな
グルッペン
お前のはそれよりタチが悪そうだ
コネシマ
うるさいわ!話はもう終わりで良いな!
グルッペン
あぁ、呼び止めて悪かったな
わざと大きな音を立てて扉を閉めてから少し後悔した。悪いのはグルッペンやなくて俺なのに、グルッペンを巻き込んで危ない目にあわせようとしているのは俺のせいなのに
グルッペンに怒鳴ったことは多々あるけれど、あくまで遊びの延長線で、あんなに本気で怒っては事実だと認めたもののように見えただろう
スパイよりタチの悪いもの
それは戦争の火種
戦う理由
そこに正当性なんて必要ない
俺の祖国が力をつけ始めている
俺のことを『形だけ』連れ戻そうとしている
あいつらはここに攻め込むつもりだ
俺に戻る気がないことがバレているのだろう
『誘拐された王の弟を救い出すための正義の戦争』
王位継承権のない2番目の子供でも、それなりの価値はある
ショッピはそのための布石と言う辺りか
「あんなに第二王子に懐いていた男が彼を殺すわけがない」
そんな魂胆が見え透いている
祖国へ戻れば戦争を防げるとまでは断言しない
けれど、すぐさま戦争が起こることは防げる
ただ、俺が軟禁されるだけ
元のお飾りに戻るだけ
……………
それが嫌だったから、逃げ出したのにな
隠密部隊に入ったショッピはゾムの部隊で一般兵にまじって訓練をしている。廊下からそれを眺めていると隠密部隊…俺の部隊と隠密部隊を掛け持っている隊員がショッピとの組手を止めてこちらに向けて手を振った


応じて片手を少し上げると、彼は遠目でも分かるほど嬉しそうに両の手を振りだした。何人かが何事かとこちらを見て俺に向かって小さくだったり大きくだったりと手を振る。なんだか嬉しくてそのまま彼らを見ていると、ふといつの間にか手を振る集団からショッピが離れていることに気がついた。傍目にはゾムの側に移動しただけ。けれどゾムと話すわけでなく、そこに意味もなく移動したように見える。


じっと俺を昔からの無表情で見つめるショッピはなにか言いたいことがありそうだった
コネシマ
なぁゾム、新人の調子はどうや?
ゾム
新人…ショッピくんのことか?
ゾム
んー…どうやろな。経歴はメチャクチャ怪しいんやけど素行は良い
ゾム
問題も起こしとらんし、何か探しとる感じもしない
ゾム
実践は問題なく付いてきとるで。もう少し訓練のレベルをあげようかと思ってるところや
コネシマ
そうかー
………
いや、何のために話しかけたと思っとるんや。黙っとる場合ちゃうぞ
コネシマ
あ、あんな、ショッピのこと見てて思ったんやけどな。アイツ近接向いとるんやないかな?
ゾム
確かにな、遠近両方でトップの成績やし剣を持たせてもちゃんと強い
コネシマ
やろ?やから何日かこっちで面倒見てみたい思ってん
ゾム
おおー、さすが期待の新人。もう部隊の掛け持ちかぁ
コネシマ
基本はそっちでええんや。今ちょうど部隊派遣で人が少ないし、アイツらが戻ってくるまででええから、な?ええやろ?
ゾム
んーー…まぁ、ええんやない?
コネシマ
よしっ!これ書類や!サイン寄越せ!
ゾム
え、なんすか、準備万端やないですか
ゾム
てか今ボールペン持ってないんやけど
コネシマ
俺が持っとる
ゾム
なんでや
コネシマ
ええから
コネシマ
はよ
ゾム
……シッマ、なんか変やで
ゾム
ショッピくんとなんか………
ゾム
…いや、これ詮索か
ゾム
んーー…なんでショッピくんか聞いて良いやつ?
コネシマ
人手があって才能がある。なら育成するのが俺らの勤めやろ
ゾム
せー…やな、確かに、その通りや
コネシマ
ほら、サイン書け
ゾム
わかりましたよ、書きますよ
サインを書いている手をはやる気持ちを抑えて見ているとその手が最後の一文字で止まる
ゾム
…コネシマ。俺の隊員を傷付けんなよ
コネシマ
おう!モチロンや!
トントンに書類を提出する途中、何度も考えた。


これは本当に正しい選択なのか


俺の隊に入れて、ショッピにとってはプラスになるのか
もしかしたら、ショッピ1人でなんとか出来るのではないか
俺がやっているのはただのお節介なんじゃないか
けど、ショッピを助けたい
この国のみんなも助けたい
なら、選択肢を増やすためにもこれが良いはずだ
本当に困ったことになったら、ショッピに頼んで俺を祖国へ連れていってもらえばいい
そうすれば、時間を稼げる
そうすれば、みんなが助かる
そうなったら、俺は飼い殺される

皆のために死ねるなら、それも良いかもしれない
トントンから返された書類を片手に食堂へ向かうと、思った通りショッピがいた。隠密部隊の同期たちとそこそこ会話をしながら定食をつついている。ここからだとショッピの姿はほとんど背中しか見えない。気付かれて逃げられるよりはましだ。気配を殺しつつもショッピたちの机へと向かった。
当然だが、ショッピと昼飯を食べていた隠密部隊の隊員たちはすぐに気がつき姿勢を正す。ショッピもそれに気が付き、こちらを振り返ろうとしたため小走りでショッピの前に書類を叩き付けるように置いた。これで逃げられない。
コネシマ
お前を俺の隊に引き抜く
ショッピは真顔だ。ただ、目が酷く揺れながら同期たちと手元の資料を行ったりきたりして、同期たちはそんな視線に困ったように俺とショッピを交互に見ている。どうしたらいいか分からないのだろう。手で静かに席を外させる。
ショッピ
隊長の許可なくそういうことは…
やっと口を開いたショッピは、自分の斜め前を見ながら話している。目線を合わせる気はないらしい
コネシマ
許可ならある、総統も了承した
自分の隊の隊員なら多少は融通がきく。隊員にしてしまえれば、俺はショッピを守ってやれる
ショッピ
しかし…
コネシマ
お前は近接も得意だろ。さっさと来い
時間があるわけではない。俺の行く末を決めるためにも取れる駒は早く、多く取らなければ。ショッピを味方に出来れば、もしかしたら最悪は防げるかもしれない。
ショッピの手を掴む。


その細い手首に何かがあった。
これがショッピの枷だ。直感的にそう感じた。


最近の自国の改発品なんぞ知らないが、話には聞いたことがある。体内にいれるタイプのGPSか、盗聴機か。


俺に何も言ってこないのも、ここから離れることもないのも、これのせいだ。
しんぺい神のところに行こう。しんぺい神なら取ってくれるに違いない。けど、それをここで話すのはバレる可能性が高い。引っ張っていけば怪しまれない…よな?
ショッピの腕を引っ張り医務室へ向かおうとする。と、後ろでけたたましい音がなった。何が起きたのか確かめようと振り返った時にはショッピは俺の横をすり抜け逃げていってしまった。ショッピは机を倒して俺の気を引きつけたらしい。陶器製の皿は割れ、ガラスコップも粉々だ。ショッピを追いかけようと扉のほうへ向かうと、後ろから声が掛かった。ショッピの同期の一人が、怯えるような表情で俺の事を見上げてくる


「こ、これが良いことかは分かりませんが、今は止めてあげて下さい。今は…踏み込まないであげて下さい。お願いします」
軍の規則を持ってこられるとは。そう言われると引くしかない。頷くと彼は安心したような顔をして、ショッピが倒した机の片付けを始めた。走ってきた食堂のおばちゃんからビニール袋を受け取り同じように皿の欠片や食べ物の残骸を片付ける。
俺がやったことは、間違いだったんだろうか
コネシマ
大先生、調べてほしいことがある
大先生
なんや珍しいな。どしたん
コネシマ
これくらいの大きさのカプセルに盗聴器やGPSを入れられるか?
手で作ったのは長さ1センチほどの輪。それを見た大先生は考え込む。
大先生
入れるだけなら誰でも出きる。ただ、それを長時間動かし続ける方法が思い付かん
大先生
もって2時間ってところや
大先生の言うことが正しいなら、アレはもうその機能を失っている…ということだろうか
大先生
……あーでも、人体とかに入れたら別やないかなぁ
コネシマ
ホンマか!?
ほとんど反射で出た声は想像よりも大きく、慌てて口を押さえる。そんな俺に抑えきれないとばかりに喉奥で笑い声をたてながら机に置かれていたパソコンを操作する。
大先生
要は人体が生命維持に使う温度で発電するって奴や。これならGPSか盗聴器か、片方だけなら死ぬまで動かせる
大先生
そういう技術はあるらしい
大先生
確か…星国とか、その辺りの技術なはず。完成したのは結構最近やで
あまりいい噂を聞かない国の名前が出てきた。あそこって他国の技術をパクってばっかやなかったか?
大先生
んで、どしたん急に。盗聴器でもつけたい相手が出来たか?
コネシマ
おらんわ!大先生ありがとな!
これ以上話し続けるのは分が悪い、ので早期撤退!とばかりに部屋を早歩きで立ち去る
どうするべきか、俺には判別できない
ただ、ショッピの腕にあったのは盗聴器で間違いないだろう。ならアレをどうにかして取り除くか、祖国にバレないよう過ごすことが必要だ
…グルッペンなら、何とかしてくれるだろうか
コネシマ
相談がある
書類が減ってきた頃合いを見計らい、グルッペンに話しかけると、持っていたペンで応接用のソファーを指される。大人しくそこに座って待つこと数分。ペンを置いたグルッペンは伸びをひとつしてから立ち上がり俺の前に置かれたソファーに座った
グルッペン
どうした
コネシマ
ショッピの事や、アイツ、何かを体内に入れられとる
目を閉じ、大きく息を吐いたグルッペンからは感情が読み取れない
グルッペン
それは、踏み込んでいないのか?
コネシマ
正直グレーや、けど、アイツがああなった理由は俺にある
状況と言動からの推測。ほとんど間違いではないはずだ
コネシマ
俺はショッピを助けたい
グルッペン
その一般兵の目的は
コネシマ
俺を殺すことが入っとるんは確実や、けど今まで狙われとらん
グルッペン
今のところ、だろ。リスクが高すぎる
コネシマ
アイツは俺を殺せへん
コネシマ
絶対に
グルッペンの大きなため息が威圧感を持って吐き出される。我等が総統なら何とかしてくれるという願望じみた考えだ
コネシマ
俺は、ショッピとここで過ごしたい
ダメ押しとばかりにグルッペンの目を見て言ってやると、目に手を当て上を向いてしまう
空を見上げたまま動かないグルッペンの言葉を待っていると、接続音と共にゾムの声が聞こえてきた
ゾム
『シッマ、ショッピの件無しにしてもらってええか?』
ゾム
『あれ以来、部屋から出てこんくなってん』
心当たりしかない。この場では引くしかないか
コネシマ
……わかった
ゾム
『ん、じゃあそんだけやから…』
コネシマ
ゾム
ゾム
『なんや?』
コネシマ
ショッピの近くで機密情報を言うな
コネシマ
…あと、ショッピを売らんでくれ
ゾム
『……わかったわ。じゃぁ…俺、ショッピくんに謝ってくるわ』
コネシマ
頼んだ
通信が切れ、静寂が訪れる


グルッペンはまだ動かない
動かないグルッペンをじっと見つめると、微かに動いた手のひらの下から覗く眼と眼が合う
グルッペン
あぁー!!わかった!わかった!
何か策を考える!
今日は取り敢えず帰れ!いいな!
ビシィッと指を突き付けられ困惑するままに部屋を出る。なぜ帰らされるのかは全くわからないが、グルッペンのことだ。何かしらの考えをくれるはず
少し軽くなった心を引き摺り自室への道を歩いた
定例の幹部会議。何があるともなくいつも通り過ぎていく退屈な時間だと思っていた
トントン
じゃ、定例会終わりまーす。何か言いたいことあるひとー?
グルッペン
はぁい
珍しく手を上げたグルッペンに皆の視線が集まる。
その視線をうけながら何でもないことのように
【お知らせ】を口にした
グルッペン
新しい幹部の席作って、そこにショッピ入れるからヨロシク
以上、かいさ~ん。と席を立って部屋を出ていくグルッペンに全員の開いた口が塞がらない。比較的、グルッペンの奇行に馴れたトントンとオスマンが慌てて大声を上げながら追い掛けていくが、グルッペンに耳を貸す気は無いようだ
トントン、オスマンと入れ違いに中に入ってきた一般兵は持っていたプリントを机の上に置きそそくさと退散していった。総統直々の命令に逆らうことの出来なかった哀れな一般兵の持ってきたプリントには、ショッピを幹部にすることと、いくつかの部隊に副隊長として入隊することが書かれていた
その中には俺の部隊の名もある
ゾム
おい!コネシマお前なんかやったやろ!
詰め寄ってくるゾムにこちらから距離を詰め、目の前で叫んでやる
コネシマ
俺は絶対にショッピを助けるんや!
コネシマ
俺の命と変えてでもな!!
そのまま乱闘となり、結局は総統の決定だからとゾムが折れる形で収まった。
コネシマ
おう! ショッピくんよう来たな!
ショッピ
なんで俺がアンタのとこ行かなあかん のや!
コネシマ
まぁまぁまぁ、ええやん?ほら、お前 ら。コイツが俺の近接隊A班で副班長 してくれるショッピくんや。仲良くし ろよ?
コネシマ
ショッピくん!お前に特別な訓練や!
ショッピ
あー…はい…なんでしょう…
コネシマ
俺の命を狙え!
ショッピ
………はい?
コネシマ
だから、俺の命を狙え言ったんや。お前はもっと隠密のスキルを磨かなあかん。そんで、ゾムと一緒に考えたんや
コネシマ
俺は基本、いつでも基地におるし、そこらの奴よりは強いからな!俺を暗殺対象としての訓練や!
コネシマ
何を使っても、いつでも、どこでもええ!好きにかかってこい!相手してやるからな!
ショッピ
……変な訓練ですね
大先生
なぁコネシマ
コネシマ
んー?なんや大先生
大先生
ショッピくんのあれええの?
コネシマ
ええよええよ!元気で何よりや!
大先生
…お前、【うっかり】とか言って死ぬなよ?
コネシマ
死なんわ!俺を誰やと思っとるん?
コネシマ
近接隊の隊長やで!
あ、今の笑顔、顔がひきつってまったな
皆さんこんにちわ。作者です
取り敢えずスライディング土下座きめますね
三三三( ノ;_ _)ノ<ドゲザァ!
考えてみたらカプセル程度の大きさに収まるGPS&盗聴器ってなに?
あ、開発したのはチーノです
とにかく爆弾の小型化を極めた結果の産物で特許は国が持ってるのでチーノには一銭も入りません
んなこと話してる場合じゃねぇ
この間にもこのシリーズを置きに入りしてくれてる人が忘れていっているというのに!
前作と空いた理由?チーノとショッピの完成度が高すぎた
あの2人のバックストーリーはモリモリに盛り上げたから筆は早く進んだだけです
あと過去の話しと辻褄を合わせるためにあれこれ調べてたからです
とにかく話を膨らませ過ぎた
あと過去を語ってないのは
トントン
ひとらんらん
オスマン
エーミール
ですね
正直オスマン以外の過去書ける気がしない
トントンは設定集のトントンだし
ひとらんらんは平和だし
エーミールは作者にもわけわかんなくなってるし
オスマンもどちらかと言うと過去が膨らんでないタイプの人なんだけどね
大先生の前髪だけでも設定を途中で変えたから変な風になってるし
大先生回をもう一回やりたいくらい
大先生の前髪問題はどうにもならん気がするけど
そういえば、久しぶりに出た星国。書いてたときは大先生の祖国でした。今やチーノの祖国ですよ…
大先生スパイ設定だったときの遺物が使えて良かった良かったです
まぁ…色々書き連ねましたがそろそろ終わりが近いと言うことです
もしかしたら、もしかしたら!オスマン過去や大先生過去part2があるかもしれないくらいです
一応連載中にはしておきますが、新しい話にも浮気し出しているので続きはあまり期待しないで待っててください
次の話書けたときには1年とか余裕で立ってそうで怖い
次の話か、別の話かはわかりませんが。またいつか

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