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第32話

番外編 運命の人
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2025/09/18 23:29 更新
あなたside





どんっ

そんな鈍い音がなったと思うと後ろに倒れそうになった。

私は反射で目をぎゅっと瞑った。


 ︎︎
あっ、大丈夫……です、か……


そう聞こえたかと思うと、背中を支えられる。


あなた
あっ、ありがとうございます!




瞑っていた目を開くと、いかにも優しそうなお兄さんが立っていた。



あなた
ご、ごめんなさい、ぶつかっちゃって…
 ︎︎
あ、いや僕は大丈夫!
そちらこそ、怪我無いですか?
あなた
あっ、はい!大丈夫です!



なんだか、落ち着いていて、懐かしい声。


あなた
…あの!
 ︎︎
あの!
あなた
あっ、
 ︎︎
先どうぞ!
あなた
い、いえ、先に…!
 ︎︎
じゃ、じゃあ…あの
 ︎︎
良かったらお茶…しませんか?




初めて見たはずなのに、何故かどこかで見たことのあるような笑顔。


頬を赤らめながらはにかんだ顔が、何処か懐かしくて涙が出てきてしまいそうだった。












あなた
あ、あの、いいんですか?
奢ってもらっちゃって……
 ︎︎
あ、いいんです!
 ︎︎
僕から誘ったし…それに、
 ︎︎
………何でもない、です。
あなた
 ︎︎
…大好きな人に、似てるんです
あなた
えっ、
 ︎︎
あなたがあまりにもその人に似ているから、
 ︎︎
だから…
あなた
わ、私、私もそうなんです!
 ︎︎
えっ
あなた
だ、誰だったか思い出せないけど、
あなた
でも、すっごく大好きで大切な人が居て、
あなた
多分、あなたも、その人に似てて……
 ︎︎
ははっ、もしかして
 ︎︎
"僕達何処かで会ってたりして"



ほんの少し、下を向いて言ったその人。


なんだか悲しそうで、寂しそうで


あなた
じゃ、じゃあ、前世からの…
あなた
仲だったり…して……



私も少し下を向いていて、

彼の顔を見ようと顔を上げると、彼がキョトンとしているから


自分の言った事が恥ずかしく思えてしまって。


あなた
あ、いや、じょ、冗談です!
あなた
冗談!
 ︎︎
…はははっ、前世からの仲かもしれないですね!




急に弾けたように笑うあなたが、とっても綺麗で


見たことがある、と何故か思ってしまった。



たくさんお喋りをして、たくさん時間が経ってしまった。

 ︎︎
ごめんなさい!
こんなに引き留めちゃって……
あなた
いいの!とっても楽しかったから!
 ︎︎
そうかな…
あなた
うん!
 ︎︎
じゃあ、"またね"
あなた
うん、!またね!




そんな他愛のない会話をして、さよならをする


彼が少し遠くにいってしまってから気付く。


あなた
あ、名前!
あなた
あの!!!!



とんでもなく大きい声で叫ぶ。
あなた
お名前って!
すると、歩いていた彼は一度立ち止まって何かを言った。





 ︎︎
ぉ…つ…ゆ……





けれど、たくさんの人の声や音にかき消され、聞こえない。

あなた
……結局わからなかった。
そうつぶやいて家へ帰った。







五条悟
あなたー!
五条悟
もう起きて!
あなた
うぅーん……



またこの夢……



私はまだ眠っている体を無理矢理起こして朝食を取りに行く。



次のニュースです。
渋谷の××丁から行方不明であったひとの死体が見つかりました。
五条悟
……呪霊かなあ
あなた
うぅーん…
身元確認が進んでおり、一人は○○××さん50歳と
乙骨優太さん17歳の身元が……




カラン、朝食用に用意されたフォークがテーブルから落ちた。




五条悟
じゃ、僕いってくるから!
あなた
う、ん…


バタンとパパが出ていった音がした時に、一気に記憶が流れ込む。



乙骨優太との記憶。


あなた
やっぱり、前世からの仲…じゃん






少し違うけれど、その言い方がピッタリなお別れの仕方。

もう貴方はこの世界には居ないけれど、それでも




あなた
大好きだよ…


涙が止まらなくて、助けられたら、なんて。


貴方も、こんな気持ちだったのかな、なんて。




私の言葉が宙に浮いて、泡みたいに消えていった。









乙骨 優太
あなたちゃん、
乙骨 優太
愛してる!!






さよならの言葉は、私をあなたに執着させる。






END

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