第2話

命の終わり
4
2026/01/17 17:10 更新
夜月優斗
夜月優斗
……んー。一体みんなは、どんなふうに竜魂が発言したのか…。
帰り道、俺は自分でも理由のわからないモヤモヤを抱えたまま歩いていた。
夕暮れの街はいつも通りで、人々の声、車の走行音、コンビニの電子音。
その全部が、どこか自分から遠い。

その時だった。

男
どけ、邪魔だ。
怒号。悲鳴。金属が焦げる匂い。
街の喧騒が一瞬で恐怖に塗り替わる。

振り返ると、黒いフードと仮面を被った男がいた。
その男の周囲で、雷が蛇のように這い回り、アスファルトを焦がしている。

周囲の人間は反射的に逃げ出す。
俺も自然と身体を交代させ、逃げる。

ーーーはずだった。

女の子
女の子
キャァァ!!
その声を聞いた瞬間、
俺は思考は泊まり、反射的に振り向いた。
夜月優斗
夜月優斗
……風音?
そこには、腰を抜かし動けなくなっている大学の友人――白木風音。
風の竜魂を持つ少女だ。だが、風は雷に弱い。
この世界でも、能力に相性はある。
もし戦っても、負ける。
それくらい、凡人の俺でも理解できた。

仮面の男がゆっくりと風音へ歩み寄る。
雷が拳に集中し、空気がビリビリと震える。
風音の瞳が恐怖で揺れる。
白木風音
白木風音
逃げ…られない。
男
消えろ。
その声が決定打だった。
考えるより早く、俺の足は動いていた。
夜月優斗
夜月優斗
…やめろッ!!
自分でも驚くほどの速度で風音の前へ飛び込む。

しかし。

雷を纏った拳が、俺の腹を貫いた。

焼ける。痛い。冷たい。
身体の感覚がぐちゃぐちゃに壊れていく。
夜月優斗
夜月優斗
─ ぐっ……!
白木風音
白木風音
優斗ッ!!!
血が溢れて、意識が霞む中、風音の叫び声だけが鮮明に聞こえる。

飛び込めば死ぬ、誰でもわかるほどの状況だった。
夜月優斗
夜月優斗
(あぁ、俺の人生、終わったんだ…)
倒れた地面が冷たい。
視界が揺れ、音が遠のいていく。
白木風音
白木風音
優斗………どうして………
震える風音の声だけは、はっきり届いた。
悲しみ、悔しさ、混乱。全部混ざった声。
男
心配するな、お前もすぐに同じ場所に連れて行ってやる。
白木風音
白木風音
──っ、やだ……!やだ!!
足音が遠ざかる。
逃げている。けど、追いつかれる。
結末なんて目に見えている。
夜月優斗
夜月優斗
(結局、無駄死にするだけ…か…)
視界が暗くなり、
鼓動が一つ、また一つと遠ざかっていく。
呼吸も、痛みも、感覚も、全てが消えていく。

——そして、俺は死んだ。




——はずだった。
腹に開いたはずの穴が、じわじわと熱を帯びていく。
細胞が再生する音すら聞こえる気がした。

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