第5話

変化する色
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2026/01/18 03:00 更新
鳴島彼方
鳴島彼方
え?まじで?
彼方も覗き込み、目を丸くする。
鳴島彼方
鳴島彼方
ほんとだ、いつもの白じゃねぇ。…なんか、火種みたいな色してる。
火種。
その言い方に妙に引っかかった。
白木風音
白木風音
炎の能力持ちの人って、燃焼量や覚醒段階で見た目に変化出る人多いんだ。髪とか目とか。
白木風音
白木風音
でも、赤く光るタイプは滅多にいないんだよね。
俺の胸に、僅かな不安が生まれた。
夜月優斗
夜月優斗
それは、いい意味?悪い意味?
白木風音
白木風音
ん〜、どっちとも言えないかな〜…?
白木風音
白木風音
でも、あの色は普通の炎じゃない。
昨日の感覚が蘇る。
腹を貫かれ、死を受け入れて、
そのあと、燃え上がった力。

あれは確かに炎だった。
けど、ただ熱いだけじゃなかった。
心臓を直接燃やされるような感覚
理屈じゃなく「生きろ」って命令されたみたいな。
夜月優斗
夜月優斗
…!?(普通の炎じゃない?)
胸がぞくりとした。
恐怖ではない。
もっと違う…得体の知れない期待と恐怖が、俺の心にはあった。
風音が少しだけ微笑んだ。
白木風音
白木風音
でも…一つだけ確かなのは
夜月優斗
夜月優斗
ん?
白木風音
白木風音
その力は普通じゃない、
多分…世界が無視できないタイプ。
冗談みたいなセリフなのに、空気は重くなる。
鳴島彼方
鳴島彼方
つまりだ!
彼方だけがいつものテンションで俺の肩を叩く。
鳴島彼方
鳴島彼方
優斗。お前、始まっちゃった側だな!
その言葉が妙に胸に刺さった。

俺は息を吸い、髪で指をつまんだ。
夜月優斗
夜月優斗
(この色の意味?いつか分かるのか?いや、分かりにいくしかない。)
静かに、でも確かに心が決まった。
夜月優斗
夜月優斗
……そう言えば?!
ふと、昨日の違和感と結びつく記憶が頭に浮かんだ。
夜月優斗
夜月優斗
心当たり、あるかも知れない!
白木風音
白木風音
誰の話?
鳴島彼方
鳴島彼方
誰のことだ?
夜月優斗
夜月優斗
穂乃果。
その名前を口にした瞬間、二人の表情が少し変わる。
記憶を探すような顔。
白木風音
白木風音
穂乃果ちゃんが?どうかしたの?
夜月優斗
夜月優斗
…… 氷の能力使うとき、普段は真っ白な髪が、少しだけ光ってるんだ。空みたいな水色に。
白木風音
白木風音
んー……そうだったっけ?そんなの見たことないよ?
夜月優斗
夜月優斗
そりゃそうだよ、戦闘の時にしか見ないし。
あの子普段、能力使う時に誰かに見られたがらないし。
鳴島彼方
鳴島彼方
確かに体育館で訓練してるとこ、一回だけ見たことある!
鳴島彼方
鳴島彼方
髪。光ってた。氷の粒みたいに。
白木風音
白木風音
!?
白木風音
白木風音
ってことは…優斗の髪も、能力に反応して変化してる?
俺は答えず、代わりに髪を指先で摘んで光に透かす。
普段はただの白い筋。
だが、
昨日、確かに赤かった。

炎の赤。
血の赤。
生と死の境界の赤。
夜月優斗
夜月優斗
(……偶然じゃない!)
胸の奥がざわつく。

風音が息を呑んで囁く。
白木風音
白木風音
色が変わるのって……
もしかして、能力の段階とか……資質とか……そういう意味があるの?
俺は小さく笑う
夜月優斗
夜月優斗
分からない。
でも、俺だけじゃないなら、調べる価値はある。
白木風音
白木風音
まず、穂乃果ちゃんに聞けばいいじゃん。
風音が明るくそう言ったが、俺と彼方は目を見合わせる。
夜月優斗
夜月優斗
穂乃果、多分知らない。
白木風音
白木風音
え?だって穂乃果ちゃん、生まれつきの能力者でしょ?
白木風音
白木風音
そんな能力の仕組み、一番詳しそうじゃん。
夜月優斗
夜月優斗
いや、違う、だからこそ知らないんだ。
風音の表情が少し曇る。

彼方がそれを捕捉する。
鳴島彼方
鳴島彼方
穂乃果は生まれた時から能力を持っていた人間。
いわゆる「先天覚醒者」
鳴島彼方
鳴島彼方
後天覚醒者みたいに、きっかけなんてなかった。
だから、研究対象だった時期がある。
風音が大きく目を見開く
白木風音
白木風音
「研究…?」
鳴島彼方
鳴島彼方
ああ。医療とか学術って名目だったけど、実質は観察だ。
鳴島彼方
鳴島彼方
「どうして彼女は能力を持って生まれたのか。」
「能力の起源は」
「進化か異物か」
俺はゆっくり息を吸う。

思い出したくない記憶のように、胸が重くなる。

穂乃果が笑顔で隠していた、あの孤独を思い出す。
夜月優斗
夜月優斗
だから……
夜月優斗
夜月優斗
穂乃果は「知ってる」側じゃない。
むしろ、秘密を教えてもらえない側なんだ。
風音が息を呑む。

驚き、そして少しの同情。

その反応に、俺は小さく言葉を足す。
夜月優斗
夜月優斗
なのに、あいつはさ、自分のことより、周りのことばっか心配するよな。
鳴島彼方
鳴島彼方
バカみたいに優しいよな。
あの性格で氷属性なのまじでバグ。
風音も苦笑する。

だけど、俺の頭にはひとつの確信が浮かんでいた。

穂乃果のあの能力は、
ただの氷じゃない。
ただの生まれつきでもない。

俺の炎とは違う方向から、
同じ場所に向かって進化しているような、そんな感覚。

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