【side Colon 】
僕は意地悪だと思う。
彼女の顔を見れば分かる。
ジェルくんを見た時の顔、
ジェルくんの声を聞いた時の顔。
ジェルくんという存在を認識した時のあの、顔。
紅潮した頬に不自然な笑み。
僕にそんな素振り、したことないのに。
僕は、きっと一目惚れってやつをしたんだと思う。
こんな3人でお茶してる時に
気づくのもあれなんだけどさ。
"遠井さん"
今じゃ有名なヒロインの名前。
ジェルくんが生み出した女の子。
ぜーんぜんジェルくんの彼女なんかじゃない。
けど、僕は意地悪だから…
ジェルくんに彼女がいるっていう風に仕向けたんだ。
彼も"活動"に関しては、言ってないだろうし。
ちょうどいいと思って。
僕達はそのまま彼女と別れた。
僕は彼女に恋をしている。
だから、君がちょっとばかり邪魔なんだよね。
こういう時だけ無駄に大人。
僕とは正反対だよね、君って。
編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。