第14話

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2024/07/04 08:00
あなた
はぁ…
大きめのため息を吐きながらテーブルを拭いていく。
今日はお客さんの入りが
あまり良くないため、店長と2人きりが多い。
悶々と考え事をしては、
今日も今日とてため息は増えていくばかり。
原因はまぁ、ひとつしかないんだけど。
チリリン…
あなた
いらっしゃ…あ……こんにちは
Jel
この前ぶりやな、あなたの名字さん
あなた
そう…ですね。
いつもの席、空いてるのでどうぞ
Jel
ありがとう、
今日は紅茶とガトーショコラにするわ!
あなた
かしこまりました!
不自然じゃなかったかな。
ちゃんと、話せてたかな。
ため息の原因となる彼がご来店しては、
普通は嬉しいはずなのに
なんだか今日は嬉しくない。
布巾をぎゅっと握り締めて、
私は厨房に戻る。
店長と目が合うと、
事情を知ってる店長は私の頭を
ポンポンと撫でてくれた。
店長
タイミング悪いね~
あなた
……あはは、仕方ないですよ
店長
元気出しなって
あなた
ありがとうございます
厨房から見える彼は、
相変わらずノートPCと睨めっこ。
その姿すらもかっこよく見える。
日当たりのいい席に座る彼は
太陽すらも味方にしてるくらい輝いてて、
見惚れてしまう。
あなた
……ずるいよ…
そう、彼はずるい。
私の心を奪っていったずるい人。

























好き___
この気持ちが届くはずもないのに。

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