きっと店長にはバレてるんだろうな。
ちょっとした希望を抱いちゃってるの。
さっきからニヤニヤしてるもん。
確実にバレてるな、これ。
私はバ先では、
紅茶とシフォンケーキの組み合わせが1番だいすき。
紅茶のちょっとした苦味と
甘いケーキが絶妙にマッチしてるんだよね。
それに、店長の用意する紅茶は絶品なの。
机に突っ伏してると、
テーブルの上にコトっと音を立てて、
紅茶とシフォンケーキが用意される。
相変わらず美味しそうだなぁ…
なんて思ってると、
ピロンと軽快な音がスマホから鳴る。
画面には、"ころんさん"の名前。
……場所聞いてどうするんだか。
それに、別に私ころんさんの相手するほど
暇じゃないんだけどなぁ。
私は、指で画面を器用に滑らせて
"fraise"ってカフェに居ます"と打ち込む。
教えなくてもよかったんだけど、
なんとなく…
なんとなく、
良い方に傾くかなって思って
私は、送信ボタンを押した。
編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!