あなた side
あの件から早2週間ほど。あれ以降女子たちからの陰口告げ口はなかったし、目黒くん達との関わりはまだあるものの、そこまで目立つようなことはなかった。
そう思っていたのも束の間。
突如人気のない校舎のトイレに呼び出され、何をされるのかと思っていたら、この間私を引き止めた人達が目の前に現れた。
目の前に突き出されたスマホの液晶に映るのは、私と目黒くんが並んで歩いている後ろ姿。
いつ撮られたのかも分からないその写真に私はすでにパニックだった。
何も言い返せない。だって目黒くん達と関わっていたのも、関わるなって言われていたのに仲良くしていたのも全て私が悪いから。
そういうと3人はヒソヒソ何かを話ながら足早に帰ってしまった。
何もできず俯くことしかできない私を置いて。
とぼとぼ歩く私の後ろから、ニカッと笑顔を浮かべて走ってきた佐久間先輩。
佐久間先輩が走ったせいで置いてけぼりにされたのか、ぷんぷんなんて効果音が付きそうに怒る阿部先輩がその2、3歩後ろを着いてきていて、その微笑ましい光景に落ち込んでいた気持ちが少し楽になった。
阿部先輩まで鋭い…。生徒会長やってるだけあってちゃんと人の事見てるんだろうな。
あぁ、また咄嗟に嘘ついちゃった。正直に言えれば幾分か楽なのに。
この人たちこういう所がモテるんだろうな、と思わずにはいられないほど細かい気遣いができていて感嘆する。
こんな風に女の子扱いされたら誰だって嬉しいよね。
しれっと私の手を掬って引いてくれる阿部先輩に、内心少しドキッとしてしまった。目黒くんもこの間同じことしようとしてくれてたよね。
やっぱりモテる人というのは、こういうさりげない仕草がモテる所以なのだろう。
あざとい警察についてはよく分からないけど、阿部先輩があざといっていうのはなんだかわかる気がする。
話を聞いてみるとどうやら、9人みんな幼少期に家が近くてよく遊んでいたらしい。それが学年が上がっていっても続いたらしく、色々あって今は9人でシェアハウスをしているそう。
なんかすごい奇跡の確率の上に成り立ってるな…。
しかもそれで9人全員モテるんだから尚のことすごい。
屈託のない笑顔で言われると、自ずと頷いてしまうもので。気が付いたら私は二つ返事で了承してしまった。
さっきあんなことがあったのに私も呑気なものだな、と自嘲するも2人の顔を見ていたらそんなことがちっぽけに思えてくる。
この先の学校生活、楽しみなことが1つ増えたので良しとしよう。













編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。