あなたside
委員会が少しだけ予定より長引いてしまい、教室に戻る頃にはもう誰も残っていなかった。
今日は課題が出ているため早く帰ろうとサクッと荷物をまとめて教室を出たその時。不意に背後から声をかけられた。
見るからにキャピキャピした私とは性格も見た目も真反対な人達。何人かいるけど、中には同じクラスの子もいた。
調子に乗ってるなんてそんな…私何かした記憶なんてない…。あ、もしかして…。
目黒くん達のこと、かな。
そうだよね。あの9人といたらこういう風に女子からの反感を買っていじめられるなんて分かりきってる。
明日から急に関わるなと言われても、目黒くん達に不審に思われるだけだろう。それに、まだ知り合って間もないのに明らさまに避けるなんてしたら、絶対いじめられてるって勘づかれるに決まっている。
この人たち私が何か言う度にバカにして高笑いしてくる…。言い返せない私が悪いんだろうけど、こんな状況下で冷静になんてなれない。
どうやら私がもたもたしているうちに向かいの階段から深澤先輩と渡辺先輩が上がって来ていたらしい。
委員会が始まる前に言ってたあれってホントだったんだ…。
それにしても不味いな、この状況。ただでさえ目黒くんのことで怒らせているのに、火に油を注ぐかの如く深澤先輩たちが来るなんて。
この2人明らさまに態度悪くなってない?私に話しかけてくれた時の物腰の柔らかさがまるで人が変わったみたいに綺麗さっぱりなくなってる。
こっちはこっちで目に見えるように媚び売り始めていて、その豹変ぶりに思わず驚愕する。
帰り際に耳打ちされたその一言に、つぅ、と嫌な脂汗が垂れる。今のやり取りで絶対ヒートアップしたに違いない。
これは全くの嘘。だって私とんでもなくメンタルが弱くてすぐ落ち込むタイプだし。
2人やそれ以外の7人に迷惑をかけない為にも私が耐えるしかない。
咄嗟に話しかけられて、反動でまた嘘をついてしまった。私最近嘘つきすぎてバチが当たりそう…。
深澤先輩に言われると不思議と全て話してしまいそうになるのは何故なのか。そんなに優しい顔で微笑まれたら嘘なんてつけない。
じゃあねなんて、また明日ねなんて、そんな風に言ってくれる友達がいなかったから新鮮でなんだかむず痒い気持ちになる。
私がもっと明るくて可愛かったら深澤先輩や目黒くんと仲が良くても咎められないのかな。なんて思いながら、残された帰り道を進んで行った。













編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。