初兎side
ないこさんたちと住み始めて1週間ほど経った
あれから正式にないこさんたちと家族……になって、役所で手続きとかなんか色々した
これで書類上家族にはなったけど、僕はまだ大人3人のことを信用できていない
りうちゃんはないこさんに、いむくんはいふさんにだいぶ懐いているけどな
僕もアニキさん……に懐いてみたい気持ちもあるけど、どうしても「大人は信用出来ない」「安全じゃない」って思って近寄れない
この3人は安全だって、心のどこかではわかっているのに
で、……とりあえず今は夕飯後のミーティング?の時間
議題はズバリ「どーやったらケーキが売れるか!!」……らしい((
……どーやったらケーキが売れるか
……見た目小学校低学年男子にそう言われても……((((
そう言ってないこさんは机につっ伏す
「立地条件」って聞いて、りうちゃんがピクッって反応したけど
やっぱり天然と言うべきか、縁起でもないことを熱弁してから良くないと気づいたので慌ててないこさんのところに行って、せめてもの罪滅ぼしっていう感じで背中を撫でてあげるりうちゃん
ないこさんはすぐにりうちゃんを抱き上げて膝の上に乗せたけど←
申し訳なさそうに涙目になるいむくんを気遣ういふさん
少し、羨ましかった
戸惑う僕とは反対に、さっきのいふさんみたいに膝をトントンってするアニキ……さん
行きたいけど、どうしても頭の中で「大人は信用しちゃダメ」とか「この人も大人だから危険」って言う言葉ばっかり流れてきて上手く言葉にできない
僕は怖くてアニキ……さんから逆に少し遠ざかった
僕はそう言ってリビングから飛び出して3階に上がって行った
そして「元・僕の部屋」のドアを開けて、電気をつけて布団にダイブする
この部屋が誰の部屋なのかも分からないまま、僕はただ1人怯えた
-hotoke- side
しょうちゃんが飛び出して行っちゃったあと
アニキがしょうちゃんを追いかけて3階にあ上がっていく
僕も行こうと思ったけど、いふさんに止められたのでやめた
ちらっと斜め横を見れば、ないこさんが真面目な顔で僕を見ている
しょうちゃんの……過去……って言うか前世……か
どうしよって僕はりうちゃんを見る
りうちゃんは「言っても安全、大丈夫」って言いたそうな感じで僕を見てきた
僕はゆっくり口を開いて、軽くだけどしょうちゃんの過去を話した
要約するとこんな感じ
・僕らと同じで小1からずっと虐められてた
・しょうちゃんは優しい性格だから色んな人……特に「助けてくれると思って大人」を信用してたけど、結局担任だった先生全員が見て見ぬふりで助けてくれなかったから人間不信状態
・あとはしょうちゃんを重点的に虐めてた虐めっ子がしょうちゃんより身長が高かったから余計に大人が怖くなって人間不信
・高校くらいからは人を全く信用しなくなった
っていう感じ……かな
いふくんが何やら難しそうなことを言ってるけど、僕はしょうちゃんが心配過ぎて何も入ってこなかった
初兎side
誰かのベッドの上で、意味もなく謝る僕
すると誰かが近づいてくる音がし、部屋のドアが開く
そしてその誰かは無言で、僕をゆっくり抱きしめてくれた
そして僕を抱いたまま、その人はベッドに座る
サラサラの長い髪が僕の頬を撫でる
アニキ……さんはそう言って、僕の背中を撫でてくれる
僕は少し安心して、ぼそっと呟いた












編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。