第5話

Ignarus
34
2025/09/21 13:14 更新



肉塊。

今、肉塊に成り果てようとしている人間が呻いている。


それと俺の間にいる、しゃがみ込んだ少女のような人。



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︎︎
……あっ、


気配に気付いたのか、彼女は徐に振り向いた。

口元には、こびり付いた鮮血。
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…………もぉ〜、こんな危ないところに来たらダメでしょ〜!
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こんなご時世なんだからぁ〜……あ、血

言葉が出てこない。
幸村 精市 
幸村 精市 
……………………

︎︎
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んーん……どうしよ……ナユちゃんと一緒にいるところ見たことないけど……
︎︎
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あ、でもこれから接触する可能性?もあるのか……それはダメ!!



その時、彼女の首から何かが生え伸びた。



つる

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︎︎
じゃあ殺しちゃうしかないね〜
若いのに、ごめんね〜?

︎︎
︎︎
さよーならー。




その蔓が、俺の首に飛びつくのが見えた。



だが、それは寸で止まった。
幸村 精市 
幸村 精市 
……っ、?



︎︎
︎︎
……あ、



彼女の視線は、俺の背後に向けられている。


その視線の先に、顔を向けた。



︎︎
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……葛、なにしてんの。

また、少女だ。

 蝿取 葛
 蝿取 葛
あっ、あわ、ナユちゃ……!



「ナユちゃん」

そう呼ばれた少女は、どこかからナイフを取り出した。


「実用性」という概念を切り捨てたような、やたらとメルヘンチックなものだ。

それで、蔓をアッサリと切り捨てる。
 蝿取 葛
 蝿取 葛
ぁっ痛!

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……アンタさぁ、なに厄介事起こしてんの。
連続殺人事件とか……全国ニュースになってんだよ。
 蝿取 葛
 蝿取 葛
でっ、でもでも!
わたし、ナユちゃんに触った奴だけ殺したんだよ!
 蝿取 葛
 蝿取 葛
ナユちゃん、野宿つらいよねっ?
私が頑張るから!お金も貯めるし、みんなから守るよ!
 蝿取 葛
 蝿取 葛
ソイツもきっと、ナユちゃんにひどいことするんだよ!!
だから、今のうちに殺して

︎︎
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はー、ウッザ。

息を切らすような弁明に、「ナユ」は冷たく一言を返した。
 蝿取 葛
 蝿取 葛
……え
︎︎
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私はそういうの頼んだ覚えないから。
︎︎
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野宿してんのはただの趣味だよ。
その気になれば私の「能力」で銀行強盗くらいできる、ナメてんの?
 蝿取 葛
 蝿取 葛
ち、ちが……
︎︎
︎︎
みんな?他の魔法少女のこと?
そんなカスみたいな正義感とか愛とか友情ほどキモいもんないよね、ねぇ葛。
 蝿取 葛
 蝿取 葛
あっ、あっあ、あいや、ちがぁ……!!

︎︎
︎︎
これ以上くだらないことするんなら、アンタのことも殺してあげよっか。
 蝿取 葛
 蝿取 葛
ッい、いや!!!!!
やだ!!!やだァっ!!!!!
 蝿取 葛
 蝿取 葛
おねがいゆるしっ、ゆるしてナユちゃん!!!!!!
ソイツっ、その人も!!!離すから!!!もう傷つけないから!!!他の人もだよ!!!!
だから嫌いとかっ、言わないでっ
 蝿取 葛
 蝿取 葛
ね?!!言わないよね!!!!
︎︎
︎︎
……じゃ早く消えろし、脳死女。
 蝿取 葛
 蝿取 葛
ぁ、、ぁぅぁ……!!!!

 蝿取 葛
 蝿取 葛
ゔわ゙ああ゙ぁ゙ああ゙あ゙ぁあんッ!!!!!!!!



葛という名の少女は、泣きじゃくりながら俺たちに背を向けて走り去っていった。



︎︎
︎︎
……お前、早く帰りな。
なんなら守ってあげようか、家の近くまで。
幸村 精市 
幸村 精市 
っ、え……いや、待っ……
︎︎
︎︎
なに、私になんか用?


用、そんなのひとつしかない。



幸村 精市 
幸村 精市 
……君は、君たちは……一体……




 馬酔木 那有多
 馬酔木 那有多
私は馬酔木那有多。
あのカス女は蝿取葛。

 馬酔木 那有多
 馬酔木 那有多
……私たちはね、魔法少女だよ。
魔法少女。








 魔法少女 とは




  魔法や不思議な力を使うヒロインの総称である。

ピクシブ百科事典より




 Ignarus  ラテン語で「未知」「無知」

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