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第3話

3時間目
314
2020/07/10 11:00





健人先生が綴じ込みを始めて3分。

私は真面目に古典をやっていた(in 化学室)のに、


「もう、飽きた。」

「ええ、はや。」


3年生っていま古典何やってんの〜って私の隣に座って覗き込んでくる





「…方丈記。」

「あーなんだっけそれ」




…近い。



先生、こんなことほかの生徒にもやってるのかなだとしたら耐えられない



しかもめっちゃいい匂いする、

甘ったるい、いかにも健人先生ぽい、そんな匂い







「あなた、英語もってきてくれれば俺教えられるのに、」

「化学は?」

「英語のが得意。」










…この先生、ますますよく分からない。
3年目なのに初めて知ることが多すぎるし謎。









「じゃあなんで。」


「英語って単位おおいじゃん、一週間の、」



めんどくさいってだけで
専攻科目変えるって、相当頭いいんじゃないか、この人。




「あ、ごめん、テスト勉強やってていいよ。」




気を使ってくれたのか
また綴じ込みを始めた先生。

だけどそれは隣の席のまんま。





やってていいよ。って言われたけど
話してないと襲ってくる睡魔。

好きな人隣にいるのに、眠いとか。





どんな神経してるんだよ私。






________________







…、うわ、ほんとに寝ちゃってた。



外は真っ暗。
隣に先生はいなくて
私にかかってるのは先生のだと思われる白衣。



先生の甘ったるい香水みたいな香りがする



…先生どこ行ったんだろう。
返して、帰らないと。



「あ、起きたの?笑」



探していた人の声

白衣を着てない先生、
なんか印象違うなと思ったら





スーツじゃなくて私服だ、
…かっこいい。



「先生、これ。」

「あ、あぁ。」







「あなた、俺が綴じ込み始めてすぐ寝たでしょ、笑」



寝顔、見られたかな。やだ、



「睡魔が、」


「お疲れですね、学生は、」



準備室の電気を消して荷物を持ってる

あ、帰るのか。





え?今何時?









「…8時……」



「寝すぎなんだよ、笑 ほら、帰る準備して」





…おこしてくれても良かったじゃん。

暗い中ひとりで帰るのやだな。





帰る準備をして化学室をでる



「先生さよなら」


「え?送ってくけど?」






…へ?


先生は化学室の鍵を閉めながら平然と言う






「鍵、戻してくるから靴持って職員玄関いて?」





…なにそれ、車……2人っきりじゃん。



柄にも無くドキドキしちゃってる自分。





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