第8話

7話
51
2026/02/21 15:43 更新


その後、とりあえず理事長室に戻ってきたあなた。

ニコラ
ニコラ
本当に無事で良かったよ
コーネリアス理事長
コーネリアス理事長
これが本当に「ヘーラーの蛇」なんですね?
(なまえ)
あなた
はい
コーネリアス理事長
コーネリアス理事長
あなたさん、まずは「怪異」の捕獲、ありがとうございます!
素晴らしいです〜!
ぱちぱちぱち!
うんうん!
ほんとに助かりました!
しかし、随分と形が変わってしまいましたね?
詳しい分析は、研究室に任せましょう。
それを外して、この瓶に入れてもらえますか?
(なまえ)
あなた
はい……


言われた通りに、指輪を外そうとする。

(なまえ)
あなた
…………。
……あの、外れません
コーネリアス理事長
コーネリアス理事長
え〜〜〜〜〜〜〜〜〜!?
ニコラ先生!
彼女の指輪を外してみてください!
ニコラ
ニコラ
え、ええ……?
これ「ヘーラーの蛇」なんですよね……?
コーネリアス理事長
コーネリアス理事長
優しく触れば大丈夫ですよ!
多分……。
時間がないんです、早くしてくださいっ!
ニコラ
ニコラ
う、うう……やさ……やさ……やさしく……


ニコラは頬を引きつらせながら、
震える人差し指で、そっと指輪に触れた。


ニコラ
ニコラ
よ、良かった……大丈夫そうだ


ほっと安堵して、指輪を外そうとする。


ニコラ
ニコラ
よっ……ん?
よっ……っ、あれ!?
これ、びくともしないんですけど……
コーネリアス理事長
コーネリアス理事長
え〜?
どうしてでしょう……ちょっと見せてもらえますか?


理事長はテーブルに身を乗り出して、指輪をまじまじと見つめる。

コーネリアス理事長
コーネリアス理事長
まさか……。
あなたさん、急でごめんなさい。
今からあなたに、テストを受けてもらいます
















あれよあれよと検査室に連れられて、中央にぽつんと置かれた椅子に座らされ、目隠しをされた。

ニコラ
ニコラ
『ごめんね。
もう少しで検査官が到着するから。
それと、今きみが座ってる椅子で、脈とか脳波とか、様々な数値を測定してる。
なるべく動かないでくれると、助かるな』
(なまえ)
あなた
わかりました


すると、扉が開く音が聞こえる。

ニコラ
ニコラ
『お、検査官が到着したね。
さっそく、テストを開始するよ』


こつ、こつ、こつ、と硬い靴音が静かな検査室に響き渡る。

足音が正面に止まったと同時に、
お香のような香りが、鼻先をふわりとかすめた。


(なまえ)
あなた
(お香……そういえば、この時の検査官の声から伯玖さんだって言われてたな)
???
大丈夫、痛くないから。
手を前に出して


言われるがまま伸ばした手に、冷たく大きな手が重なる。


(なまえ)
あなた
ビクッ
(なまえ)
あなた
(目が見えないから急に触れられるとびっくりする)


長い沈黙の中、ずっと手を握られ、あなたはじっとして終わるのを待つ。

しばらくして、絡められた指がほどかれた。


???
はい、終わり。
よく頑張りました


そう言ったその人物は、ポン、とあなたの頭を撫でた。

















テストを終え、あなたは理事長室に戻ってきた。

ソファーに身を預けてゆったりしていると、軽いノックと共に、ハイドが口笛を吹きながら、部屋へと入ってきた。


ハイド
ハイド
お邪魔しま〜す♪


手には、ガラスのティーポットとカップ、加えてミルクとはちみつが並んだ、トレーを持っている。


ティーポットは、下からろうそくによって温められ、中には華やかなオレンジ色の花が、ゆらゆらと咲いていた。


ハイド
ハイド
これ、よかったらどうぞ。
僕のおすすめなんだよね
(なまえ)
あなた
どうも


カップを手に取ると、花の香りが広がり、ゆっくりと口をつける。

ハイド
ハイド
どう?
美味しいっしょ?
(なまえ)
あなた
美味しい

コクリと頷き、頬を緩める。

ハイド
ハイド
君がいなくなったって聞いて、僕も心配してたんだよ〜?
(なまえ)
あなた
…………

つんつん、とあなたの頬をつつきながら言うハイドに、あなたはじとっと視線を送った。


ハイド
ハイド
あ、疑ってる?
ひどいな〜


ハイドはヘラヘラと笑って気にしていない様子。


ハイド
ハイド
それね。
不安や緊張に効果的と言われてる「エピネオの花」からできてるんだ。
やっと君のそんな顔が見れて、先生、作ってあげた甲斐があるな〜♪
コーネリアス理事長
コーネリアス理事長
ハイド先生、なに言ってるんですか〜?
それ、ニコラ先生が作ったものでしょう?


呆れたように眉を寄せ、理事長が部屋へと入ってきた。

コーネリアス理事長
コーネリアス理事長
ご苦労様です!
テスト結果は、やっぱり僕の思った通りでした。
これ、見てくれますか?
ぜひ、ハイド先生の見解も聞かせてください
ハイド
ハイド
……ほ〜…………なるほどね


ハイドは顎を撫でながら、集中した様子で、書類に目を通している。

コーネリアス理事長
コーネリアス理事長
あなたさん……どうか、落ち着いて聞いてください。
なんと、あなたには……グールの「スティグマ」を強化する能力が、備わっていたんです……!
(なまえ)
あなた
はぁ……
コーネリアス理事長
コーネリアス理事長
はぁ……じゃないですっ!
あなた、とんでもない力を授かってるんですよ?
(なまえ)
あなた
(と言われても、既に知ってるんだよな〜)
ハイド
ハイド
理事長先生、彼女は一般人ですよ。
まずは、グールと「スティグマ」の説明をどうぞ



そうして、グールと「スティグマ」の説明が始まった。

あなたはおさらい程度にその話を聞いていた。



悪魔に魂を売り、自らの「願い」を叶えてもらう行為を──「悪魔契約」と呼ぶ。

グールは、その「悪魔契約」をして、運良く生き残った者たち。
基本、「悪魔契約」をした人間は不幸な死を遂げるか、廃人と化してしまう。


彼らグールは、悪魔を喰らったことで、普通の人間とは違い、強靭な体力と特殊な能力を得たとされる。

その特殊な能力、俗に言う『超能力』のことを「スティグマ」と呼んでいる。




そして、先ほどのテストで、あなたが「スティグマ」を強化する能力を持っていることが判明。
指に嵌っている、「叡智の指輪」の効果と考えられる。



コーネリアス理事長
コーネリアス理事長
あなたにはこれから、「監査役」として任務の報告書作りをお手伝いしてもらいます。
「泡沫マッチ」で記憶が消えないあなたは、適任と言えるでしょう♪
ハイド
ハイド
あいつら、すぐ「マッチ」悪用するからね〜
コーネリアス理事長
コーネリアス理事長
グールたちの任務に同行していれば、あなたの呪いの情報も、集めやすいでしょうしね!
ハイド
ハイド
呪いを解く、一番手っ取り早い方法は、原因自体をとっ捕まえることだしね
コーネリアス理事長
コーネリアス理事長
あなたにも授業を受けてもらいます。
と言っても、正式な入学ではないので……『特待生』と呼ぶのはどうでしょう?
(なまえ)
あなた
……はい
コーネリアス理事長
コーネリアス理事長
とはいえ、「監査役」としてあなたには中立な立場にいてもらう必要があるので……寮は無所属という形で手続きしますね
(なまえ)
あなた
わかりました



それから、入学の手続きを行う。


コーネリアス理事長
コーネリアス理事長
この後、入学式が行われますので、あなたもぜひ、出席してくださいね♪
(なまえ)
あなた
はい


























理事長室を後にしたあなたは、猫に入学式の会場まで道案内をしてもらう。

(なまえ)
あなた
猫さん、早いよ〜


先に行く猫に声をかけながら、あなたはゆっくりとその背中を追っていた。


猫は度々、後ろを気にしてくれている。




猫が曲がり角を曲がった、その時……。

ニャーー!!
(なまえ)
あなた
っ!?


猫の叫び声が聞こえてきて、あなたは駆け出した。

駆けつけた先には、黄色のバッチをつけた男子生徒が数人。


(なまえ)
あなた
(ヴァガストロム……!)


蹴られたのであろう猫が傍に倒れており、ひとりの生徒が笑いながら猫の首根っこを掴んだ。


(なまえ)
あなた
……っ


あなたはそのまま駆け出し、猫を掴んでいる男子生徒の背中に突っ込んだ。

ヴァガストロム寮生
うわっ!?


その瞬間、男の手から猫が宙に投げ出され、あなたはそれを見事キャッチする。


(なまえ)
あなた
猫さん、大丈夫!?
ニャー……
ヴァガストロム寮生
あぁ!?
誰だてめぇ!
ヴァガストロム寮生
よくもやってくれたな!


あなたは振り返って、キッとヴァガストロム寮生たちを睨みつける。


ヴァガストロム寮生
あぁ?
なんだ、可愛い顔してんじゃねえか
(なまえ)
あなた
(ゲームにはこんなシーンなかったじゃん……)


あなたは猫を地面に降ろして、守るように前に出る。


ヴァガストロム寮生
いたたた……あー、さっきので怪我しちまったわ。
責任取ってお前が介抱してくんね?


そう言って腕を掴まれ、力強く引っ張られる。

(なまえ)
あなた
…………っ


あなたはその場に踏ん張り、逆に引っ張り返して抵抗する。

ヴァガストロム寮生
おい、抵抗すんなよ!
(なまえ)
あなた
いやに、決まってるじゃんっ
(なまえ)
あなた
(力強っ……やっぱ勝てるわけないか。
ていうか、腕もげる〜……(>ㅿ<;;))


あなたの足元にいた猫が助けを呼びに行こうと駆け出そうとしたその時──
彼女の横に誰かが立ち、男の腕を掴んでいた。


???
その辺にしとけ
(なまえ)
あなた
っ!?
(なまえ)
あなた
(しょ、翔くん……!)
ヴァガストロム寮生
あぁ!?
い、いでででで!


翔平が掴んでいた腕をひねりあげると、あなたの腕が解放される。

???
翔ちゃんが人助けとか、うける
灰園翔平
灰園翔平
うるせえぞ、玲音
黒鷲玲音
黒鷲玲音
うわ、君の腕、痕できてんじゃん。
かわいそ〜


あなたの腕を指して、そう言う玲音。

ヴァガストロム寮生
てめぇら、見ねえ顔だな。
新入生か?
ヴァガストロム寮生
まさか、グールか……
灰園翔平
灰園翔平
あ?
だったら何だよ


翔平に睨まれ、一般寮生たちは舌打ちをして去って行く。



『ニャー』と鳴き声と共に足にすり寄ってくる猫に、あなたはしゃがみ込む。


(なまえ)
あなた
怪我はない?
ニャー

返事をするように鳴き声を上げ、猫はあなたの腕の痕を舐める。

(なまえ)
あなた
良かった……。
猫にひどい扱いをする奴は地獄に落ちればいい(ˆ⩌⌯⩌ˆ)


あなたはボソッと呟きながら猫を撫でて抱き上げる。

振り返ると、翔平と玲音がこちらを見ていた。


(なまえ)
あなた
(ストーリーより早くに出会ってしまった……)
(なまえ)
あなた
あの……ありがとうございます
灰園翔平
灰園翔平
気にすんな。
あんた、ここの生徒か?
(なまえ)
あなた
いや……今日から入学という形で……学年は多分2年……
灰園翔平
灰園翔平
へぇ、センパイか。
俺、灰園翔平。
『翔』でいい
(なまえ)
あなた
あ、うん
黒鷲玲音
黒鷲玲音
俺は黒鷲玲音。
俺も『玲音』でいいよ〜。
君の名前は?
(なまえ)
あなた
あなたです。
あの、新入生なら、早く入学式の会場に行った方がいいのでは?
灰園翔平
灰園翔平
あー、そうだった。
じゃあな、あなたセンパイ。
玲音、行くぞ
黒鷲玲音
黒鷲玲音
はいはい。
じゃあね〜、あなたサマ♪


笑みを浮かべて手を振る玲音に、手を振り返して別れる。


(なまえ)
あなた
私も行こう。
猫さん、今度は離れすぎないように、案内よろしく
ニャー!

プリ小説オーディオドラマ