「じゃあ行ってくるね!」
「ん、ありがと」
「はーい」
さとみくんと軽い会話を交わし、先程まで話し合っていた部屋を出た…─
─ところまでは良かった。
「へ…ころちゃん…?!」
なんと早速、向かい側の廊下を歩くころちゃんと出くわしてしまったのだ。
(え、なんで…?!ころちゃん見つかんなかったんじゃないの?!)
半笑いで今の状況を把握する。嘘でしょ、こんな事ある?まぁこれもさとみくんの運が絶望的に無かったのと、俺の日頃の行いが良かったんだな、うん。(※違うとは言わせません)
それに、探す手間が省けたってことだし。
「ふぅ…出来る出来る…」
一度深呼吸をして気持ちを落ち着かせる。
そんなに緊張することでもないが、俺の探るための1言がさところの関係を裂く可能性だって充分あるのだ。ここは落ち着いて望むとしよう。
(よし…じゃあ、探り入れて行きますかぁ!)
俺は静かに荒げた声を無かったことにして、そーっところちゃんに近づいた。
相変わらず顔色は安定に悪いので心配だが。
「……こーろちゃん」
「っどわぁあ!!なになになになに怖いってどうしたの莉犬くん………」
「ふふ、いやぁ?ころちゃん、体調どうかなって。」
「あーね…もう大丈夫。」
「ふーん…」
いや絶対嘘。言っとくけどこの状況で目逸らすのは、最早気づいて欲しいの域に入るからね?
「まー取り敢えず聞きたいことあるからさ。カフェよんない?」
「ぇ゙…なんで」
「いーからほら!」
「ちょっ…痛ァ!!」
ころちゃんの抵抗を阻止し、手首を思いっきり掴む。こんなひょろひょろの俺でもやすやす引っ張れたんだから、体調は治ったわけではなさそうだった。
たく、心配かけやがって。
最近俺に母親キャラが根付いてきた原因が、なんとなくわかった気がした。
「─で…聞きたいことってなに」
「うわーあり得んくらい不機嫌だなおい」
「いやそうでしょうよ!なんだよ急にさぁ!」
「…ごめんごめんw」
(いや全部お前の為なんだわ…)
ころちゃんたらすぐピキるんだから。巻き込んできたピンク頭の顔面を頭に浮かべながら、なんとか気持ちを抑える。
まぁ提案したの俺だし、しょうがないかぁ…。
それに少なからず心配だしね。さところは昔から兄弟みたいな関係だったし、活動に影響する以前に2人が不仲になってしまうのが怖い。そんなことは起きないって信じてるけど。
「あーでね。」
「…うん。」
俺達の間に緊張が走る。珍しく空気を読んだのか、ころちゃんも表情を変えた。
「さとみくんのことなんだけどさ。」
「………あー…なんか聞いたの?」
(この反応は絶対なんかあるな…)
まったく、探りがいがありそうだ。
「まぁ…というか相談受けた。」
「あぁね…」
案の定気まずそうな声を出すころちゃん。全部バレてるから言えばいいのに、自分で。
まぁそう上手くはいかないか…言いづらいことありそうだもん。
心の何処かで納得して、俺は顔をあげた。ころちゃんの目を見詰める。
「……なに?」
耐えきれなくなったころちゃんが音を上げた。彼の素直さはメンバー1だと思ってる。まぁツンデレだけど。
「ころちゃん、さとみくんのこと怒ってるのかなーって。」
「え…いや、なんで?」
「さとみくんが言ってたよ。部屋飛び出していったって。」
「あぁ…それは、自分に余裕無くて」
「じゃあその前は?さとみくんと全然話してなかったじゃん。ぶっちゃけ…避けてた?」
「う…、いや……」
「………」
「避けて……ました」
「やっぱり。」
そうと決まれば、あとは理由だ。何故さとみくんを避ける必要があったのか。喧嘩…ではなさそうだし、きっところちゃんが1人で悩んでいる事だろう。
「ねぇころちゃん。俺は2人が心配だよ、正直。」
「へ…、」
「大袈裟かもしれないけど、もう失いたくないんだよね…2人共、大事な人だからさ。」
「………莉犬くん」
これは間違いなく本音だった。
些細なことで関係が壊れるなんて、しょっちゅうある。その関係が何年積み重ねられていたとしても、崩れるときは一瞬だ。どれかのパーツが少しでもズレたら、それは崩れてしまうから。俺は今までそれを沢山見てきたし、体験してきた。
でもさ、そんなのあまりにも…あっけないじゃん。そんなバラけ方、すとぷりじゃないじゃん。みんなで支え合って、誰かが倒れたら側にいる。
それが…俺達でしょ?
「っ……分かった」
「うん。」
言いながら微笑む。ころちゃんがゆっくりと顔を上げた。
「莉犬くん、ごめん。全部話す。」
「あははっそっか!ありがとう…!」
潤む目を誤魔化すために出した声は、どうやら小さすぎたようだ。
きりマウス((
投稿しないとか言っておきながらストックがあったのを思い出しました(
おつ桃亜











編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。