第17話

「こぼれた一言」
1,422
2024/01/25 08:40 更新


翌日、出先用の格好で集合場所に向かった
スマホをいじっていると、時刻は集合時間を二十分ほど過ぎていた
少し心配になって、電話をかけてみようとLINEを開いた
すると、誰かから肩をトントンと叩かれた
多分こえくんだ
Relu
あ、こえくん、遅かった……ね……
振り返ると、パッと見女の子のようなこえくんがいた
片方の横髪を編み込みのようにしてまとめて耳にかけていて
いつも着けている花のヘアピンで留めていて、髪の毛がふわっとしている
かわいい
一番にそう思った
Coe.
変じゃないかな?
Relu
(変……?)
Relu
(えぇっと……手話………)
Relu
めっちゃ似合ってる
Coe.
………!
Coe.
よかった
Relu
そろそろ電車来るし、駅行こっか
Coe.
コクッ
それから電車に乗って、遠くの水族館に行った
こえくんは電車に乗るのも、電車に乗ってどこかに行くのも初めてだったようではしゃいでいる
弟みたいだなぁと思った
しばらくして降りる駅につき、人混みの中ではぐれないように注意して駅を出た
水族館方面のバス停までの道を歩きながら、疑問だったことを質問してみた
Relu
なんで水族館に行こうって言ってきたの?
Coe.
…………
Coe.
れるちと友達になれたらなぁって思ったから
Relu
え………
Coe.
昨日、れるちは僕と友達じゃないって言ってた
Coe.
だから、友達になりたくて誘った
Relu
……なんでれるなの?
Coe.
れるちなら大丈夫だと思ったから
Relu
…………
Relu
この前はごめん
Relu
ノート、大事なものだったのに……
Coe.
大丈夫だよ
Coe.
だって、れるち破くときちょっと躊躇ってたもん
Coe.
僕のこと考えてくれてありがとね
Relu
……本当にごめんね
Coe.
大丈夫だって
しつこいほど謝っている間にバス停につき、バスを待った
時間がピッタリだったから、あまり長い時間待たなかった
バスの席に座り、こえくんは窓から見える景色を楽しんでいた
電車と同じで、こうしてバスに乗って遠出をするのは今日が初めてだったそう
しばらくして、降りるバス停が機械のような女性の声で紹介されていた
バスを降りて、目的の水族館まで歩く
あまり会話を始められず、ほとんど会話がないまま人が多い道を歩いた
Coe.
ぁ……しゅい、ぉく……かん!
Relu
あ……ほんとだ
Relu
じゃあ入ろっか
Coe.
コクッ
水族館でチケットを買って、色んな海の生き物を見た
熱帯魚や淡水魚、深海魚の展示、触れ合いコーナー、クラゲ
クラゲが見れる場所は少し暗くて、落ち着いた雰囲気の場所
ミズクラゲの水槽の目の前の椅子に座って、壁に寄りかかってプカプカ浮いてるミズクラゲを見つめる
こえくんはクラゲを生で見たのは初めてらしく、ずっとミズクラゲを見ている
こういう場でスマホをいじるのはダメだと思ったから、ミズクラゲを見つめているこえくんを見ていた
Relu
(こんなにミズクラゲに興味関心がある人ってこえくんだけやろなぁ……)
Relu
(ミズクラゲも困惑してそう………)
Coe.
…………(トントンッ
Relu
ん?
Coe.
なんで頭の輪っかの数が違うクラゲがいるの?
Relu
(なんで………頭……輪………数、違う……クラゲ………)
Relu
あ~………
Relu
分かってないらしいよ
Relu
クローバーみたいな感覚で見とけばいいよ
Coe.
ほぇ~………!
そんなにミズクラゲが好きなんだろうか
いや、初めて生きたものを見たから興味津々なだけか
Relu
(……ただプカプカ浮いてるだけなのに、そんなに見てて楽しいんかな………)
クラゲのことをあまり知らないし、見たことがないっていうわけじゃなかったから
こえくんみたいに興味を持ってクラゲを見ることなんかない
まぁ、自分の前に見たことがない生き物がいたら興味津々にもなるか
Coe.
く……くぁえ、さん………ぷ、ぁ……ぷか………し……てぇう……ね!
Relu
(クラゲさんって………w)
生き物にさん付けするところも、語尾が上がる喋り方も、目の前に興味を持ってる横顔も
全部、好き
楽しそうにして笑っているこえくんが、好き
Relu
………こえくんのこと……好きだなぁ……
聞こえるわけがないと思って、本音を吐いた
すると、こえくんが固まって、ゆっくりれるのほうを振り向いてきた
Relu
……え、なに?どうかした?
Coe.
…………
徐々に顔が赤くなっていくこえくん
熱でもあるんだろうか
Relu
え……っと………
Relu
体だるい?頭痛い?
戸惑いながら手話でそう質問をすると、こえくんは首を横に振った
なんなんだろう
れるの顔に何か付いてる?
Relu
どうしたの?
Coe.
……ぃ、ま…………
Coe.
しゅ……き、って………
Relu
え………
Coe.
ほ、ぉ……きっ……しぇ……う………
Relu
……?
Coe.
今……補聴器してる………
Relu
え……え、!?
Relu
(補聴器してる……ってことは………)
Relu
あ、え、えっと!今のはその……!!
Coe.
あ……ぇ………
こえくんの反応からして、相当はっきり聞こえてしまったんだろう
恥ずかしさと、またあのときの感覚を味わう恐怖で頭がいっぱいになった
Relu
……れ、れる!お手洗い行ってくる!
Coe.
………!(ガシッ
この空気から逃げ出したかったけど、こえくんがそれを阻止してきた
Coe.
………れ、る……
Coe.
……ぇ……っと………
すごく言葉が詰まっているように見える
断る言葉を探しているんだろうか
断られたら、もう同性との恋愛関係を発展させるのはやめよう
これからは"当たり前"に、異性とそういうのをやっていって___
Coe.
ぼ………僕、も!
Relu
………え?
Coe.
っ、ぼ……く、ぉ…………
Coe.
れ………れ、る……の………ぉ……こ、と………
Coe.
ちゅ………あぅ………
Coe.
……しゅ、き、!
Relu
………!!
恥ずかしそうだけど、すごく真剣な顔で返事をしてくれた
イエスなんて貰えると思ってなかった
Relu
……冗談でしょ?
なんて、すごく失礼なことを聞いてみた
こえくんは思いっきり首を横に振った
今度は自分の顔が熱くなっていく
誤魔化せないけど、こえくんから目を反らしたくて正面のタコクラゲの水槽に目をやった
水族館は涼しい気持ちになるはずなのに、体は日に照らされたようにどんどん熱くなっていく
心臓の音がドンドンと体全体に響く
嬉しいんだろうか
すごく嬉しいけど、ちょっと違う
Coe.
………れ……る、ち!
Relu
ちょっ……い、今は……
Coe.
……むー………(グイッ
赤くなってる顔を見せたくなかったけど、こえくんはれるの顔を両手で掴んで無理やり目を合わせた
やばい、ほんとに無理
恥ずかしさで死にそう
頭の中で色んな気持ちがぐるぐると渦巻いている
すると、こえくんはパッと手を離して手話をした
Coe.
ずっと一緒の約束する?
Relu
(「約束する」………?)
Relu
約束するってなに?
そう聞くと、こえくんが体重を預けてきた


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