ふわりと空中に体が浮く感覚…
なかなか慣れないものだ…
私は気付くと皆を置いてお母さんのいる病室に
走り出していた
走っていながらも後ろから聞こえる会話は
耳に入っていた
けど、そんな場合じゃなかった
耳元で聞こえる声…まさか、と思い
横に目を向けると
すぐそこに後ろにいたはずのメンバーがいた
そうだ、ここは病院…走ったら危ない
みんなのおかげで冷静になり
急いで動かしていた足を止めた
急に止めたのが悪かったのかもしれない
足を止めた瞬間、ツルリと足が滑った
転ぶ…!反射で目をつぶってしまう…
次に来るのは痛み…
のはずだった
痛みではない感覚…
包まれるような、あたたかい包容力を感じた
どうやら鬱先生が受け止めてくれたらしい
みんなで廊下を歩いて、お母さんのいる病室前に
ついた時、そこには担当医であろう人と兄がいた
そう言って颯爽と担当医さんは白衣をなびかせながら
廊下を歩いていった
兄はそう言って去ろうとしたが
止めたのはコネシマさんだった
編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!