耳が聞こえないのは生まれつき。 というわけではない。
過去の出来事が原因で、聞こえなくなってしまったらしい。
小学生ぐらいのときかな?
「みーちゃん!!早く来てーー!!」
「ま、まってぇ💦」
私の名前、夜雪 美澪 (やゆき みれい)だからよく「みーちゃん」って呼ばれてた。
当時のわたしはすごく明るい性格で、よく笑ってた。友達だってたくさんいたよ。
そのなかでも特に仲のいい女の子がいたんだ。その子はね、すっごく足が速くてとにかく運動できたんだ。勉強もできて、とってもかわいい子だった。
その子と毎日おにごっこであそんでた。まぁ、いっつもわたしが負けるんだけどね。
もう、毎日がすごくきらきらして見えて楽しかった。ずっとこのまま生きていくんだって。
そう、思ってたよ。
あの日がくるまでは…………ね?
編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!