第10話

8類 言語
159
2025/01/17 00:46 更新
〜あなたSide〜
「こんにちは、あなたちゃん!」
明るい声がアタシを迎える。
彼は長い前髪で片目を隠していた。
「初めまして、おれが
「9類 文学」
の司書、Nakamuです!よろしくね」
握手を求めてくる。
「よろしく…ぁ」
そうだ、彼らには触れられない。
「…そっか、Broooockから聞いたんだね?おれたちが幽霊ってこと」
「うん。…そのBroooockは?」
「寝てる。…ここ最近忙しかったおれが悪いけど、やっぱりおれも、君と話したくて」
さり気なく本を本棚に戻してくれる。
「まずはいつも図書館を使ってくれてありがとう。おれたち司書にとってこんなに嬉しいことはないよ」
「ばっちゃんが…本を好きだったから」
「そうだね。彼女がおれたちをここの司書にしてくれた。どうやったのかは教えてくれなかったけど」
「ばっちゃんがそんなことできるなんて、知らなかった」
「ね。というか、おれたちがさっさと死んじゃったのが悪いか」
「どうして死んじゃったの…とは訊かないほうがいいか」
「聞かないほうがいいと思う。気分悪くするよ」
本を戻し終え、ぱんぱん、と軽く手をはたく。
「…ここは掃除が行き届いてるね」
「よく分かんない。ホコリもたまらないし。彼女は何か不思議なチカラを持っててもおかしくないね」
「アタシ、ばっちゃんのこと全然知らなかったんだな」
「それはおれたちも同じだよ。知らないことなんてたくさんある」
本を選びながら沈黙する。
「ねぇNakamu!?なんで起こしてくれなかったのぉ!?」
足音を響かせてやってきたのはBroooockだ。
そしてゆっくり彼を追いかけてきたのはシャークん。
「シャークんが起こしてくれなかったらぐっすりだったじゃん!」
「ぐっすり寝てるのジャマしちゃ悪いと思ってさ」
「ものは言いようだな」
「僕が約束破ったみたいになっちゃうじゃ〜ん!」
わいわいと騒ぐ3人を見ていて、あることに気がついた。
「Nakamu…?」
「?なに?」
「脚、透けてる…?」
「えっ…?」
Nakamuは自らの脚を見る。
そこにあるはずの脚は透けていた。
「嘘ぉ、Nakamu!?」
BroooockはNakamuの脚に触れる。
シャークんが手袋を外せば、手が透けていた。
「Broooock、お前の首元も…!」
「っ!?」
Broooockが透けた首に手を当てる。
「なんでなんでぇ!?どうしてこうなったの!?」
「こんなこと初めてだ…」
「彼女が死んだから…?おれたちも消えるっていうのか…?」
「もしかしたら、きりやんたちも?」
「どうしよう、止める方法は…っ、そうだNakamu!あれを渡せば…!」
「だめだよ。あれは明日でないと」
「それまでに俺たちが消えたらどうするんだ?」
「消えない。おれは分かる。明日まで消えないチカラは残ってる」
「〜っ、もう!あなたちゃん!明日は絶対に来てほしいの!逃したら僕たち、消えちゃうからっ…その前に!」
「分かった…アタシにできることはない?」
「今はない。ごめんねあなたちゃん。今日は帰ってほしい。明日…忘れないで」

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