夜
アジトの廊下は、ものすごく静かだった
寝る前に少し話をしようとした時だった
コツ
コツ
コツ
足音ひとつ分、
わざとらしく遅い。
あなたは、気づいていた。
振り返る前に、
背後から声がした
首筋が粟立った
あなたは振り返って、微笑んだ
軽く手を振る
大人でも迷子ってなるんだー
ヒソカの指先が、
ふっと宙をなぞる。
念の気配。
即答
次の瞬間
床が、弾けた。
ヒソカの足が消え、
一気に距離が詰まる。
首
致命点。
________速い。
でも
あなたは、下がらない。
ヒソカの手首に、
黒い影が絡みつく。
一体だけ。
最小展開
さっきまで別任務で死んだ、
下っ端の再演。
ヒソカは、楽しそうに笑った。
ゴムが弾く
影が砕ける
同時に
あなたの腹に、蹴りが入った
壁に叩きつけられ
息が詰まる
ヒソカは言う。
あなたは、壁に手をついて立ち上がる。
一瞬だけ
ヒソカの動きが、止まる。
あなたはほんのり微笑みながら胸を叩いた
一歩、前に出る。
脅しじゃない
事実の提示。
ヒソカの目が、細くなる。
ヒソカは、舌打ちしそうになるのを
笑顔で誤魔化した。
肩をすくめる。
まぁ、殺せるわけないけど
空気が、張り詰める
次の一手で、
どちらかが本気になる
その瞬間。
いつの間にか、廊下の奥に立っていた。
ヒソカは、ゆっくり距離を取る。
名残惜しそうに、指を鳴らす
あなたは、クロロを見る。
静かな否定。
ヒソカは、あなたを振り返る。
あなたは口角をにっと上げて
ヒソカの笑みが、
心底楽しそうな顔をしている
そう言って、
闇に溶けていった














編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!