その日の夜……今夜は月が黒雲に隠れ、星でさえ全く見えない。
そんなことも気にかけず、私はただ一つのことで頭がいっぱいになっている。
以前と同じだが、全く思い出せない。まるで誰かに都合の悪い記憶だけ消されているみたいだ。
消したのは誰なのか…で一番に思いつくのは我が主であるレクトル様…
夢に現れた謎の少女も記憶を消しているのはレクトル様だと言っていた。
フルールたちやキッドと話すうちに“本当に自分はミッドナイトの者なのか?”と疑い始めるようになってきた。
その理由はいくつかあるが、1つ目は以前に満月を見た時、自然が嫌いなはずなのに何故か綺麗と感じたこと。
2つ目はフルールたちにピアスのことを話されたこと。
アポロンがつけているピアスはエールデ・シャイニングガーデンの王女の証だ。
ところが、私のつけている月のピアスがどういうわけか彼女のピアスと全く似ているのだ。
………まさか……ね。
何故かキッドは無言で私の顔をじっと見つめていた。何だか切なげな瞳で。
急な意味のわからない質問に困惑する私。
本心は嫌いだが、他人に素直に“嫌い”というのは流石に…と私も思うので、
自然に対する“嫌い”という気持ちを抑えて答えた。
今日のこと…!?というか、彼どこで見てたの…
彼はほんの少し黙りながらも、ゆっくりと口を開く。
まさかここまで見抜かれていたなんて…
というか、ミッドナイトの幹部としての名前まで……
すぐさま私は黒い月のロッドを手に取り、キッドに飛びかかる。
突然の攻撃に驚きながらも、キッドはギリギリのところで避けた。
(ここからはキッドsideです)
あなたちゃんは黒い月のロッドの先端を俺の方に向けた。
そしてロッドから紫色の闇が溢れ出して、俺に向かって襲いかかってくる。
やられる!!そう悟った俺だったが…
俺の目の前にいるのは白くて長い髪と太陽のピアスが特徴的な女の子だった。
どうやらこの子があなたちゃんの攻撃を防いだらしい。
キュアアポロン…?確か、あの時の……
あなたちゃんが呆れ気味にため息をしながら面倒くさそうに呟いた。
今まで気にしたことはなかったが、彼女たちが身につけているピアスがどことなくデザインがそっくりだ。
それに…
二人の顔立ちは似ているがあまり、まるで双子のようだった……















編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!