第152話

耳ぴょこ包み
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2025/07/08 01:51 更新




ジン
ジン
あとはボックスの包みか。って言っても、ここにはないしなぁ。
テヒョン
テヒョン
もう頼んでますよ。


スマホを見ながら返したら、すぐ察したようだ。

ジン
ジン
あ、ソフさんに頼んでたんだ。
テヒョン
テヒョン
はい。もう来ると思います。


と、タイミングを計ったよう、ノックの音が響いた。

ソフ
ソフ
失礼します。


静かに扉が開いて、ソフさんが入ってくる。


ソフ
ソフ
ご用意いたしました。こちらでしたら、ボックスを包めるかと思います。


手にしていたのは、白いウサギの総柄で、柔らかな水色をした、大きめなハンカチのような布。

ジョングク
ジョングク
あ!うさぎさん!

ジョングクの瞳がぱぁっと輝く。

ソフ
ソフ
つい勢いで購入してしまったものでして…でも、お役に立てて光栄です。
ジン
ジン
ソフさんが衝動買いなんて、
めずらしいよね?


ジンさんが驚くのも無理はない。
俺も同じ気持ちだった。

ソフ
ソフ
はい…このウサギがどことなく、ジョングク様に似ている気がして。
ジョングク
ジョングク
このうさぎさんが?
ソフ
ソフ
はい。でも、お気を悪くさせてしまってたら申し訳ありません。
ジョングク
ジョングク
んーん!うれしい!


ジョングクが、照れたようににっこり笑った。

ソフ
ソフ
実は、ジョングク様に差し上げたくて選んだ布です。もし気に入っていただけたなら、今後もぜひお使いください。
ジョングク
ジョングク
わー!ありがとうソフさん!
ソフ
ソフ
とんでもございません。
ソフ
ソフ
テヒョン様、レジャーシートなどは、後ほどお部屋までお持ちいたします。
テヒョン
テヒョン
うん、よろしく。


ソフさんは一礼して、音もなく部屋を後にした。

テヒョン
テヒョン
んじゃ包むか。
ジョングク
ジョングク
うん!


テーブルの上にウサギ柄の布を広げて、真ん中にランチボックスを置く。

テヒョン
テヒョン
やってみるか?
ジョングク
ジョングク
ん!やってみたい!


訊けば、嬉しそうに頷いた。

ジョングク
ジョングク
ここは…こうしてぇ…


四角い箱を一生懸命に包んでる姿は、ずっと眺めてられるほどに可愛い。

ジョングク
ジョングク
これを…ぎゅっ!


布の端をとり、ぎゅっと結ぶ。

ジョングク
ジョングク
できた!


結び目が耳のように立ち上がって、ウサギみたいになっていた。

ジン
ジン
可愛くできたじゃん!
さすが天才助手だな〜!


ジンさんがまた拍手してる。

ジョングク
ジョングク
テヒョンとジンさんのおかげ!
ジン
ジン
いや〜照れるなあ〜。じゃ、ふたりとも楽しんでこいよ。おじさんは洗い物しながら、妄想ピクニックでもしとくから!
ジョングク
ジョングク
ん、ありがとう!
いってきます!


ジョングクがぶんぶん手を振ると、ジンさんも大きく振り返していた。



厨房を出て、自室に向かい廊下を並んで歩く。

ジョングクは、ウサギ柄の包みをだっこするように胸に抱えていて、その顔はどこか誇らしげだ。


テヒョン
テヒョン
うまく包めた?
ジョングク
ジョングク
ん!ちゃんと“ぎゅ”した!
テヒョン
テヒョン
そうだな、ちゃんと
“ぎゅ”ってなってるな。
ジョングク
ジョングク
うんっ


足を前へ動かすたび、包みウサギの耳が、ぴょこぴょこと揺れていた。





部屋に入ると、ジョングクはそのままソファにちょこんと腰かけ、包みを膝にのせて待つ。

ジョングク
ジョングク
ソフさん、もう来るかな?


やけにそわそわしてて、思わず吹きそうになる。

テヒョン
テヒョン
そろそろだと思うよ。


答えたとたん、控えめなノックが響いた。

ソフ
ソフ
失礼いたします。
ソフ
ソフ
テヒョン様よりお預かりしていたリュックの中に、水筒とレジャーシート、タオルを詰めております。
ジョングク
ジョングク
これテヒョンのなんだ!
テヒョン
テヒョン
うん。昔使ってたやつ。


グレーの生地とブラウンレザーの配色で、上部はレザー紐でぎゅっと絞るタイプのリュック。学生の頃に使ってたものだ。

ジョングク
ジョングク
かっこいい!


ジョングクは感嘆の声をあげながら、そっと中をのぞき込んだ。

レジャーシートは緑と白のストライプ柄で、水筒とタオルには、さりげなくウサギの柄が入っている。

ジョングク
ジョングク
あ、うさぎさん…!


またウサギ…まさかこれもか?と思っていると、ソフさんが小さく笑った。

ソフ
ソフ
はい。いつかジョングク様に使っていただけたらと、実はそれらも衝動的に…
ジョングク
ジョングク
うさぎさんかわいい!
ソフさんありがと!
ソフ
ソフ
気に入っていただけてよかったです。では、ランチボックスはそちらにお入れください。中は仕切りで安定させてありますので、ご安心を。
テヒョン
テヒョン
さすがソフさん。
ソフ
ソフ
おふたりとも、どうぞ素敵なひとときを。では、失礼いたします。


ソフさんは頭を下げ、音もなく出ていった。


ジョングクはリュックの中に、そっと大切そうにランチボックスを入れる。

けどそのあと、何度も紐をゆるめては、中をのぞき込んで確かめていた。
ジョングク
ジョングク
くずれてないかな…
テヒョン
テヒョン
大丈夫だ。もう何度も見たし、しっかりおさまってるよ。
ジョングク
ジョングク
でも…かわいく包んだから、しわしわになったら、かわいそうだもん…


その言葉に、ふ、と笑いが落ちる。

テヒョン
テヒョン
そうだな。なら一緒に見てみよう。


隣に座って、一緒にリュックをのぞく。包みの耳はぴょこんと立ったまま、中で静かにおさまっていた。

ジョングク
ジョングク
ん、大丈夫そう。
テヒョン
テヒョン
じゃあ、出ようか。
ジョングク
ジョングク
うん!


ジョングクがリュックを背負う。少しふらりとしたが、すぐに体勢を立て直して振り返った。


ジョングク
ジョングク
テヒョン!
テヒョン
テヒョン
ん?
ジョングク
ジョングク
ピクニックへ、
れっしゅ ごぉ〜!








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