星空一side
漸く…と言ってはなんだか暫くの時を得てから、漸く授業である「探検」が幕を開けた。皆が皆興味津々そうに辺りを見回す、それは一やロロンも例外ではなく、目を輝かせ乍ら周りを見回していた。
一がふと窓辺を見てみると大きなプール場が視界に移る、一はつい先程ロロンと話して居た内容を思い出し、思わずロロンに報告する。ロロンは一が指差す方向を見詰め、嬉しそうに口元を緩ませた。その光景が如何もほんわかとしており和やかな空気が身に纏った。
そうすると隣に居た、大きな耳を生やした男性がその空気を断ち切る様に低い声で此方に言葉を綴った。
男性は申し訳なさそうに眉を顰めながら、声の聞こえた方向を向く、一はその男性に見覚えがあった様な感じがした__確か…入学式で…一は男性の姿を長々と見詰めながら、思考を巡らす。
男性は軽蔑する様な眼差しで此方を睨み付けた後、顔を暗くしまるで狼が唸る様に低い声色で言葉を連ねた。
彼にそう指摘され、一は思わず目を逸らす。狼耳の彼は漸く満足したのか背中を向けて何処かへ向かって行ってしまった。
と言っても同じ空間にオレらは存在する訳だから再度騒いで彼の腹が立つ様な事をしては逆戻りだ。また、あんな怖い目に遭うのは勘弁だ…。
イヴ…と言う彼は一匹狼の代表…みたいな存在の様だ。ロロンが優しく話し掛けに行って上げたのに無碍にするとは…如何もいけ好かない奴である。
と言っても1年間はお世話になるクラスメイトだ、仲間の名を覚えておいて損はないし、あわよくば彼と仲良くなりたい__だがあの調子では仲良くなれるのは絶望的であろう……。
一はそんな事を考えていると、ロロンが微笑を浮かべ、此方に語り掛けた。
別に…仲間の名前を覚えるだなんて当然な事…特段と褒められる内容ではないのだが…一は自分でそう分かっていても思わず頬が紅潮して行くのが分かった。
一は頬を紅く火照らせ乍ら、話を逸らす為に話題を替えようと言葉を連ねる。
一は直ぐ側に居たロロンの細くて色白の小さな掌の平を握り、急いで話し合って居た一達を置いて一足先に行ってしまったクラスメイト達を早足で追いかける。
クラスメイト達はそのまま2階へと上がって行った。この学校はパンフレットで閲覧した限りは3階まであるらしい。
一は自分の足が持つ事を願い乍ら長く感じる階段をロロンを連れ歩き始めた。遅れをとってしまったせいかクラスメイト達の一番後ろ…つまり最後尾だった。















編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!