第3話

馬鹿に付き合ってる俺も馬鹿
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2025/04/08 07:27 更新
文次郎と喧嘩した。些細なきっかけではあったが、確実に悪いのは私の方で。いつもなら折れる文次郎がこの時だけ何故か全く折れず、勝手にしろと言われてしまった。でも素直になりきれず喧嘩から3日、お互い連絡を取り合ってない。正直辛い。早く仲直りしたかった。

大学の講義のため教室の席で待機していた仙蔵は、文次郎との途絶えたラインを見つめかれこれずっと続きを悩んでいた。そんな時、

「立花君ー」

バイト先の先輩だった。何度かお世話になっているが正直苦手なタイプである。

「なんでしょうか?」

と声をかけると甘い声で

「実は飲み会持ちたいんだけど、これたりしなーい?来てくれたらすごい嬉しいんだけど、」

どうしたものか。苦手なタイプとの飲み会など苦でしかないのは目に見えてはいるが、お世話になったという点が引っかかる。世渡り上手と呼ばれる仙蔵の直したい点であった。それに、女がいる飲み会はアイツが嫌がるだろうか…そう考えたところで、いやアイツ関係ないし、勝手にしろって言われたんだから勝手にして何が悪い!と何故か負けず嫌いをここで発揮し、では行かせていただきますと言ってしまったことを今正に後悔している。

「乾杯ーー!」

来てわかったが、完全に合コンである。

「立花くんはー趣味とかあんのー?」「めっちゃ肌綺麗だねーいいなー」「髪なんか私よりツヤツヤじゃーん」
と酔っ払いが絡んでくる。

すると主催者である先輩が

「私のなんだからねーーー!」

と強引に腕をくみ出した。もう無理だと判断し、すみません、用事を思い出しまして、と逃げるように金を置いて去った。すると

「待ってよー、合コンって言わなかったのはごめんだけどー、もうちょっと付き合ってよ、おねがーい」

と再び腕を組もうとしてくる。勘弁してください、と伝えるが、酔っ払いの耳には全く入らない。思い切り振り払おうとしたその時だった。

文次郎が居た。数メートル先に。しまったと思う。この状況、完全に私が浮気をしている絵である。

「違っ…!文次…!?」

いいかけて止まる。文次郎が今までにみたことがない、氷のように冷たい視線をこちらに送っていた。やばい、まずい、焦りで汗も震えも止まらない。

すると文次郎は数秒こちらを見つめ、反対方向へ歩き出していた。

「放せ!」

文次郎しか見えなくなった仙蔵が思い切り腕を振り払い文次郎を追いかける。

違う、違う、違う、

泣きそうになりながら追いついた文次郎の腕を掴む。

「すまない、違うんだ文次郎!一度話を聞いてくれ、お願いだから、謝るから、だから、」

結局、文次郎は仙蔵がお願いだからと泣き出し、折れて仙蔵の家にいる。

仙蔵はことの経緯を説明した。すればするほど言い訳にしか聞こえず自分が嫌いなっていく。喧嘩中とはいえ、あの女を結果的に優先してしまった過去の自分を殺したくなる。

「…そうか、安心した。」

「何故そうなる…私はあの時お前がした目が冷たくて捨てられるかと思った」

「何言ってるんだ、それはこっちのセリフだ」

「は?」

わけがわからない。

「俺はあの時、仙蔵が女と一緒にいるの見て、俺の仙蔵を取りやがってと女を睨みつけたが、勝手にしろと言ったのはこっちだ。俺に愛想が尽きて他のところへ行ったと思うだろ。…捨てられたと思ったのはこっちだ」

「…私はお前にそんな思いをさせていたのか?最低だな私は…すまない、ほんとにすまない、謝ってばかりで馬鹿らしいと思うだろうが本当に思ってるんだ。一緒にいてくれ。お願いだから、だから、」

捨てないで


そう言うと文次郎は本当に馬鹿だなと呟く。そしてそんな馬鹿に付き合ってる俺も馬鹿かと笑いながら言うのであった。

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