「どこにいるんだろうねー本当に」
伊作が呟くのを横目に仙蔵がラーメンを啜る。この時代で記憶が蘇り、偶然なのか運命なのかもう一度出会うことができたのは結構多かった。あの時一年生だった、乱太郎やきり丸、しんべエにも会うことができ、その他の学年や教師陣にも何名か会えている。しかし、同級は自分を含め5人。もう1人足りない。仙蔵と同じ組だった文次郎だ。
「どうせ、鍛錬馬鹿になってひょっこり戻ってくるだろうよ。」
留三郎が伊作の問いに答える。全くどこをほつき歩いているんだか…これが仙蔵の本音だった。正直、記憶があるのか、会えるのか、不安がないといえば嘘になる。だが、ここまで順調に揃ってきてるんだから、たまたま最後が文次郎だっただけだろうと自分を納得させていた。
「それにしても、凄いな!!ここまで大学で揃うとは!!」
「…下の学年にもいるしな…」
相変わらずのボリュームで元六年ろ組が話を続ける。
「凄いよねーみんな元気そうでよかったよ。あ!そういえばさ、左近が思い出したらしいよーまだ会えたいけどね」
「おお、保健委員全員見たかったのか、不運委員会なのになー」
「ほんと、ほんと、まあ僕は不運だけどねー」
集まったと言っても記憶を持つ者、持たないものがいる
。これに関しては、会ってみなければわからないが、みた瞬間思い出したということもあるらしい。
するとラーメン屋の店主がほい、サービスと皿に人数分のチャーシューがのった。
「おおー!!」「いいんですか!?」「ありがとうございます!うまそー!」と口々に店主へ話しかける。その店主も記憶を持ったひとりである。元忍術学園教師、山田伝蔵であった。思い出した時に自分と同じような記憶を持つ者が集まれる場所を作りたいと始めたのがラーメン屋だったと聞く。実際、そんなラーメン屋には元忍たまだけでなく他の者も訪れる場所へとなっていた。
その時、店の戸が開いた音が聞こえた。
「こんにちはー!!」
「お腹すいたーー」
「何食べようかなー!」
乱太郎、きり丸、しんべエである。
「おーいらっしゃい。好きなとこ座っとけー」
伝蔵が慣れたように3人に声をかけた。どの時代も変わらない。何かホッとするものがあると見るたびに思う。
「あー!先輩方!どうも!」
3人が私達に気付いたようだった。みんなおお、とかああとか、学校帰りかー?と先輩らしい顔で話しかける。
「あの!凄いんですよ!乱太郎のやつ」
食い気味に迫るきり丸になんだなんだー?と小平太が興味を持ち始める。
「ちょっと!きりちゃん!せっかちすぎるよ、全くもう…」
そう言いながら、乱太郎がリュックを下ろし一冊のスケッチブックを取り出した。そういえば、乱太郎は絵がうまかったな、大学はそっちの系統行くのだろうか、とのんびり思っているとどれどれー?と小平太がスケッチブックを開いた。
「…覚えてる範囲で描いてみたんです。」
ちょっと恥ずかしそうに言いながら説明したスケッチブックには懐かしい景色と人物が本当に映っていた。おおー懐かしい!伊作だな!上手だ!この桜の木なーとアルバムを見るように語り始めた。その目はどこか嬉しそうである。そんな六年の顔を見た乱太郎も嬉しそうであった。
そんな時一枚の絵に目が止まる。最後に会ったあの日から、いつも記憶の中でしか見れなかった文次郎の顔があった。懐かしいと言う気持ちがだんだん、会いたいという気持ちに変わっていく。
「…文次郎だな」
「…確か一緒に雑炊食べましたよね」
きり丸が呟く。
「あの水たっぷりのね」
しんべエが付け加える。
「…そうか。覚えているのか。」
「勿論ですよ。潮江先輩のことを嬉しそうに立花先輩が話されてましたもん。」
ありがとう、お兄ちゃん。呟いた記憶がある。文次郎に。聞こえないように。
…兄なら、早く迎えに来い。バカ
会いたい
「…どこにいるんだろうねー本当に」
先程書いたような言葉が再び呟かれた。











編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。