お願い、だから、
お願い。
世界は不公平だ。
スクールカーストは不公平だ。
優れた人はなににも気がつかないまま、
正義だけを貫き通してさ。
私たちみたいな奴らの敵は、正義に気がつかれない事を知っている。
だから、私たちの結末はいつも同じ。
だから、全員が全員、巻き込まれたくなくて。
誰がいじめにあっていても、
知らないふりをするのが一番の正解。
正義に気づいて欲しいけど、そんなことはなくって。
だから、私はいつも2軍だった。
1軍様に従う忠実な犬。
逆らうことは絶対に許されない。
だけれど、安定感は抜群で。
それでも、それでもさ。
いつ何が起きるかわからない。
『まだ』その2つの単語だけで済ませて、優衣を睨みつける。
優衣は『ごめん』と、ぽそっと呟いて、私を1人にしてくれた。
旧校舎のトイレで頭から血を流して倒れていた、美空はまだ目を覚まさない。
もう3日も。
なんでよ、美空。
美空の家族が現れず、私は、この3日間、学校に行かずに病院にいる。
美空の元を離れることができなかったから。
時より、優衣と沙月が来てくれるけど、さっきのように追い返してしまう。
どうしても許すことはできなかった。
考え事をしていた私の耳に、物凄くクリアに聞こえたのは、美空の声。
幻かと思ったら本物だった。
3日ぶりに美空がっ、美空が目を覚ました。
編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。