小さく首を竦めてそう言う少女に教える気がないのか、と勘づく。
そんな誰かも分からない初めましての少女との空間が
何故か安心する
星空のような瞳でそう問いかけられる
その問いに俺は応えられず、ただ汗ばんでいく
冷や汗が頬を伝う
暑くない。寒くない。暖かくない。涼しくない。
温度さえ感じない空間に、これが夢なのだと確認する
そうだ。これは夢だ。
なら、言ってもいいんじゃないか。
彼女には悩みを打ち明けてもいいんじゃないか。
怒らないんじゃないか。
迷惑がらないんじゃないか。
蔑まないんじゃないか。
誰にも言わないんじゃないか。
そんな淡い期待が生まれ始める
初めましての人に悩みを話すなんてどうかしてるかもしれない。
でも、そんなことも忘れて全て話した。
腹のうちまで。
話しているうちに涙が溢れてきた。
どんどん視界が霞み、声が震えていく。
それでも、少女は俺の背中をさすって、
優しく頷きながら聞いてくれた。
透明な淡い雰囲気をまとう少女だった。
消えそうなその少女が俺のただ一つの光に見えた。
頷くと、少女は淡く笑って「 苦しかったね 」
「 辛かったね 」と抱きしめてくれた。
その温もりを払い除ける気なんて起きなくて、
また少女の腕の中で泣いた。
夢なのに温もりを感じるなんて。
なんて変な夢だ。と思った。
でも、なんでも良かった。
俺の孤独を埋めてくれる優しい存在が出来ただけで、
俺は満足だった。
孤独で苦しい夜が大嫌いだった。
でも、ちっとも怖くなくなった。
ひとりじゃなくなった。
話を聞いてくれる人がいる。
ただそれだけで、十分すぎるほど落ち着けたんだ。
泣き疲れたのは何年振りだっけ?
誰かに抱きしめてもらったのはいつぶりだっけ?
誰かに悩みを打ち明けられたのは初めてだっけ?
少女といる時だけ、俺はいつもの何倍も優しくなれた。
こんな夜が終わって欲しくないと思った。
そして「 終わるな 」と念じ続けた。
その願いが届いたのか、
俺に朝は来なくなった。
嬉しかった。
もう悩むこともないんだ。
もう抱え込まなくていいんだ。
笑わなくていいんだ。
泣いていいんだ。
何でもかんでも彼女は受け入れてくれたんだ。
いつも優しく抱きしめてくれた。
いつも頷きながら話を聞いてくれた。
でも、俺は彼女にも言えない悩みがひとつだけあった。
この悩みだけは誰にも話せなかった。
そして、もちろん話したこともなかった。
彼女にも話す気などなかった。
「 大丈夫 」って魔法の言葉なんだ。
これが嘘だろうが、本当だろうが、誰も咎めない。
俺は生きているうちにそれに気づいてしまった。
だから、口癖になっていたんだ。
でも、ある時彼女に言われたんだ。
「 ” 呪いの言葉だよね ” 」
それは、初めて彼女が俺の言葉を否定した日だった。
朝投稿し忘れてました…
すみません!!🙇🏻♀️














編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。