『 え … !!
本当 ?嘘じゃないよね ?』
死柄木「本当だ」
『 ~ッ!!!!!』
喜びが堪えきれず 、
ギュッと下唇を噛む 。
何時もなら 喜びを表に出さぬよう
平常心にならないと 、と感情を押し殺していたが
緩みきった口元を隠す必要はもうない 。
背伸びして 弔くんの顔に付着した手を
そっと外した 。
完全に虚を突かれたのか
憎悪とほんの少しの驚きが入り交じる朱紅色の瞳 。
至近距離で見るその瞳には 、
愛おしげな表情を織り成す私の顔が
はっきりと反射していた 。
不意に 渇いたリップ音が木霊する
死柄木「 ッは ?」
『これで 、契約成立ね』
彼の唇は 冷たくて少しカサついていた
しゅるしゅると私の左手の薬指から
赤い糸が現れる 。
それは 素早く弔くんの手を目掛けて伸び
彼の左手の薬指に絡みついた 。
運命の赤い糸 。
だが それが2人を繋いだのを認識すると
焦げた砂糖のような香りを残して
瞬く間に消えてしまった 。
『これしかない …
弔くんがガッツリしたのが食べたいのなら
今から私が作るけどどうする? 』
死柄木「コレでいいよ
というよりオマエそんなキャラだったか ?
随分口調変わってるけど 」
『あれは 親にこう喋れって言われてて …
あっちの方が好みなら喋り方戻すよ ?』
死柄木「 …いや そのままでいい」
突然 腹減った と言う弔くんの為に
机のある別室へと移動し 、
信者達へと用意されていた上生菓子をだして
ゆっくりと雑談を勤しむ 。
季節外れな桜を形どった練り切りは
来客用だから高級品のはずだけど …
弔くんの口には合わなかったみたいで
眉間にシワが寄っていた 。
だけど 文句を言うこともなく食べてくれる 。
死柄木「俺の顔になんかついてンのか ?」
『何もついてないよ ?
ただ 見つめてただけ 』
頬杖をつき ボーッと見つめていると
視線に気づいたのか自分の顔を指さす 。
素直に思いを伝えると 、彼はピタリと固まった 。
どうしたのかな ?と思う間もなく
また動きだしたが崩れた桜の花びらの一部を
フォークに指すと
死柄木「ん 。」
『もがッ』
ぶっきらぼうに呟いて
私の口にフォークを突っ込んできた 。
反射的に噛むと フォークも強く噛んでしまったようで
甘さの中に鉄の味が混ざっていた 。
『 、 突然何の真似 ?』
美味しく飲み込んだ後 、
私の反応が面白かったのかくつくつと笑う弔くんに
頬を膨らませて見せる 。
死柄木「あ?何だっていいだろ 。
まァ強いていえば … 餌付けか ? 笑」
フグみてぇだな とグイッと片手で私の頬を潰して
不敵に笑う彼の笑みに 思わず見惚れた 。
私はこれくらいで顔を赤らめるほど
初心ではないので 、
唯間抜けズラを晒す羽目になったが …
突然何のつもりだろ
死柄木「愛すってコレであってンのか ?
個性を使うためには必要なんだろ」
『あ 、そういう …
わかんないけど違和感すごいからやめて』
死柄木「文句の多いヤツだな」
そう言って私の頬から手を離す 。
あれ でも弔くんのゲージ ほんの少し溜まってる 。
じゃあ あってたのかな … ?
ねぇ 、と口を開こうとした時
母「あなた !! これはどういうこと!?!?
説明しなさい !!」
邪魔が入った 。













編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。