必死に喉から振り絞ったその声は何と言っているのか聞き取れない程のものだった。
窓の外からしとしとと雨が降る音が聞こえる。
きっと、神様も今だけは私に同情してくれているのだろうなぁ……
妙に外の雨が、涙が降ってきているような感覚に陥りそう思う。
私はもう一度柳からの手紙を読み返した。
シンプルなイラストが入ったその手紙には柳の綺麗な字が刻まれている。
それを理解したとき、猛烈なショックを受けた。
何で、柳は死を選んだの?!
その質問に対する答えはすぐ見つかった。
『ずっとずっと道を進む』
私は強くなんか無い。
そして、柳のように生きていける自信もない。
だから、柳が手紙に書いた事を私が実現出来るかはまた別の話。
柳、貴方はこの手紙で1つ間違ったことを書いてたよ。
道は、誰もが作っていくもの。
そして、進む事は止まる事。
柳。今まで本当にありがとう。
今までは、柳に助けてもらった。
まだ引きずってるかもしれない。
もっと悲惨な事が待ってるかもしれない。
でも、それでも前を向くのが私。
今までありがとう。
ただ、あの毎日を思い出にはしたくないな。
またね!柳。
元気でね。
編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。