実は気付いていた。
俺と山本は、前世二人で自殺した奴等だと。
俺が最初に死にたいって思ってから、山本はずっと励ましてくれていた。
だからこそ一緒に最期を迎えたくて、
一緒に死んだ。
なんて、願ってもいなかった想像以上に幸運なことが起こっていた。
だって俺は
『ただ、それだけ。』
俺にはその言葉が強く響いた。
話しかけることすらできない。
だって、山本、君の身体はもう、
半透明なんだから。
記憶がごっそりと抜けていくような感覚。
光が差し込む
羽が開く
山本は苦しみ笑う
なんて、山本が最後に小さく呟いた。
やっぱり、笑顔で送ることなんかできないや
いざ…ぁさ…
光った。
光、輝いた。
あまりにも綺麗で、
あまりに寂しい。
自分の頬を触ってみると、少し濡れていた。
なにか、あったのかな?
なんか、忘れてる?
編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。