私たちはお互い家も近かったし
一緒に帰ることが多かった。
私は廉くんと一緒に帰ることが
本当にしあわせだった。
こんなに仲良いんだから…
って私は淡い期待を
少しだけ抱いていた。
私に衝撃が走った。
そう表情に出そうになったけど
廉くんに悟られたくなかった。
そんなの言えるわけない!
そんな空気読めないことして
廉くんに嫌われたくない。
そんなん言われなくても
わかってるよ。
だって毎日私は廉くんに
恋してたんだから。
廉くんはさっきと変わらず
喋ってくれる。
私と廉くんの微妙な距離感。
廉くんに好きな人がいるって聞いて
時間が止まったみたいに感じた。
でもそんなこと言うから
嫌いになんかなれないんだよ…
となりでニヤついてる廉くん。
私はそんな廉くんを
見てられなくて
すこし歩幅を縮めて歩いた。
ガチャ…
私は部屋に入った途端
ベッドにダイブした。
自分の中で大きくなってしまった
私の廉くんへの気持ちは
行き場をなくしてしまった。
そんなこと思ってるのは
私だけなのかな。
編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。