第16話

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2023/11/01 23:20 更新
真名 視点
私が生まれた環境は、世間で言う"最悪"であった
昭和の時代でも珍しいほど劣悪な環境で、ずっと自分は必要ない存在だと思っていた
いや、それは今でも変わっていない
ただ、少しだけ楽しみなことができた
一
金ならいくらでもやる!
だから、死のうとするな!
_真名@ムメイ_
真名ムメイ
金なんて、死ぬ身の私には必要ない
一
ぅぅ…
私の何処に惹かれたのかは知らないが、こうして毎日のように顔を合わせては金で吊ろうとする彼
名を九井一。金の為ならなんでもやる男であると、風の噂で聞いたことがある
しかし、この様子を見るに全くそうは見えない
今も断ってすぐに威嚇のように唸り声をあげて、不満を身体全体で表すものなのだから、彼の脳内は犬猫のようなものだと勝手に思う
一
どうしたら、お前は…
拗ねたような、悔しそうな声で俯く
_真名@ムメイ_
真名ムメイ
…そうだねぇ
顎に手を当てて、考え込む
恐らくあの言葉の続きは『死なないでくれるのか』とか、そういうものだろう
私が死のうとするのは一種の癖のようなものだから、それを無くすには……
そこまで思考して、ある考えが浮かんだ
_真名@ムメイ_
真名ムメイ
…私が死にたいのは、環境もあるだろうけど、今はもうそれが癖になっている
_真名@ムメイ_
真名ムメイ
つまり、九井くんには悪いけれど、もうそれが直ることはないんだ
一
……
はっきりと直らないことを告げると、分かりやすくその綺麗に整った顔を歪める
それを見て無意識に口角が上がり、鼻先がくっつきそうなほど顔を近づける
一
、ぁ…
目を見開き、息を呑むのが分かる
ほんのりと赤くなった頬に手を添える
_真名@ムメイ_
真名ムメイ
…だから、死にたいって思っても自殺はできないって思わせるくらい、この世に私の未練を作ってよ
_真名@ムメイ_
真名ムメイ
私が、死よりも君を優先するくらい…ね
一
…お前は、ずりぃよ
_真名@ムメイ_
真名ムメイ
……お互い様だよ
誰も愛してはくれない日々に、君から告げられる愛とも取れる言葉の数々
それを毎日のように続けられたら、私の方が惹かれてしまうのも無理はないだろう?
しかも君は、それを無意識にしている
……だから、君もずるい

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