君は知らなくて良いよ。
最初のあの部屋は
僕が用意して居て、ミントはそこに連れ込んだだけって事。
ミントの記憶が戻らないのは
僕が力を使っているだけって事。
あの部屋からマンションに移動させる
事が出来る僕は黒魔術師って事。
記憶が戻る前のミントと僕は
恋人同士だった。
でもミントはとある組織の一員で…
追われているところで
交通事故にあった。
意識不明なまま二ヶ月がたって、
ようやく目を覚ましたと思ったら
診断結果は
【交通事故による重度の記憶喪失】
だから僕は考えたんだ。
もし、記憶をゼロからやり直せたら?って。
黒魔術師だった僕を受け入れてくれた
唯一の愛しい存在だったから。
一からやり直したい。
あわよくば記憶を取り戻してほしい。
そんな僕の勝手な欲望で手に入れた。
ようやく。
こんな汚い僕なんかを
愛してくれるミントはとっても優しくて
一緒にいると楽しくて…
時々意地悪してくるけど…
僕はどうやらパパになるらしい。
編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!