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第4話

言えなかったこと
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2025/09/04 09:06 更新
文化祭当日。
教室の入り口には、
手作りの看板と例のダサいロゴが掲げられていた。

「グレイスフィールド劇団」
_____誰がどう見てもセンスが迷子だが、
妙にしっくり来る。
クラスメイト
ノーマンくん
こっちの小道具が足りないよ〜!!
ノーマン
すぐそっち行くね
クラスメイト
レイー、
音響の人が来てるって!
レイ
ん、わかった
朝からバタバタだった。
でも、不思議と嫌じゃなかった。
彼奴と一緒に作ったものが、誰かに役立ってる。
そんなら当たり前のことが、ちょっとだけ嬉しかった。
ノーマン
レイ
レイ
ん?
舞台裏で控えていたとき、ノーマンが俺を読んだ。
手には、補強した小道具の剣。
リボンまでつけてある。
レイ
...それ、センス悪いって言っただろ
ノーマン
ほら、
少しでも本物に近づけたくて
レイ
余計悪化してんだって......
レイ
貸せ、俺が直す
俺はため息をつきながら、器用にリボンを外し、
綺麗に結び直してやる。
ノーマン
ありがとう、レイ
ノーマン
やっぱりなんだかんだ言って
優しいよね
レイ
うるせぇ
余計なこと言うなよ
ノーマンは笑った。
少し前なら、その笑顔さえ嘘に見えたのに、
今は少しだけ違って見えた。
劇は、予想以上に上手くいった。
観客の反応も良く、教室は賑わい、
写真を撮る人の列までできていた。
レイ
......終わったな
ノーマン
うん
ノーマン
レイ、ありがとう
レイ
え?
ノーマン
君がいなかったら、
きっとここまで来なかった
レイ
......別に大したことはしてねーよ
ノーマン
それでも、本当にありがとう
そう言って笑ったノーマンの横顔を、
俺は少しだけ長く見てしまった。
多分、この空気が崩れるのが怖くて、
何も言えずにいた。
その時、突然教室の電気が落ちた。
音響機材の一部がショートして、
ブレーカーが落ちたらしい。
レイ
ここだ、多分接触不良だと思う
俺が見てみる
ノーマン
レイ、危ないよ
やるなら僕が___
レイ
お前が倒れたら誰がみんなをまとめんだよ
少し黙ってろ
俺は手早く配線をチェックし、
ブレーカーを戻す。
ぱちんという音と共に、再び光が戻った。
ノーマン
...さすが
ノーマンが感嘆したように言った。
レイ
こんなときだけ素直かよ
小さく笑いながら、
俺はしゃがんだ姿勢のまま、深呼吸した。
その時、思わずこぼれた。
レイ
なぁ、ノーマン
ノーマン
ん?
レイ
お前がいなくなったとき......
俺、すげー後悔した
もっとちゃんと話してればって
もっと、素直に向き合ってればって思った
ノーマンが黙る。
でもその沈黙は拒絶じゃなかった。
レイ
俺......お前がいない間、
すげぇつまんなかった
また会えて、なんかすげぇむかついたけど
本当は嬉しかった
やっと言えた。
何年も言えなかったことを____
ノーマンが、静かにしゃがみこんで、
俺と同じ目線になった。
ノーマン
僕もずっと同じこと考えてた
ノーマン
レイがいない毎日を“平気なふり”してたけど
全然ダメだった
本当はずっとレイ達のことだけが
引っかかっていた
まっすぐな目。
もう仮面じゃなかった。
ノーマン
だから、また会えたこと、
本当に嬉しかった。
俺は目線を逸らして、そっぽを向いた。
レイ
...うぜぇ
ノーマン
え、、うざかったかな?
レイ
でも、もう逃げんなよ
ノーマン
うん、もう逃げない
準備室の蛍光灯の下、2人で並んで座る。
外の教室からは、笑い声と拍手の音。
あの頃とは違うけど、今の俺達は、多分____
レイ
お前がいても、案外悪くない
ノーマン
うん
ノーマン
僕もレイとなら
きっともっと面白くなると思う
俺達は、ただ小さく笑いあった。
それだけで、十分だった。
𝑒𝑛𝑑.

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