前の話
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とある路地裏
兄さんの依頼者と話をしていた
兄さんからは危険はないと伝えられていたのに…
女は胸元をガサガサと漁りながら私に近づいた
ドスッッ
時が止まったような気がした
私は慌てて女を突き飛ばすと刺さったナイフごと離れた
赤い液体がドロドロと溢れ出ていた
「痛い」
「痛い」
「痛い」
「痛い」
「何で治らないの?」
「あぁ、なんて愚かな女なのだろう…」
私はそう思った
仮にも兄さんの妹だ
嫌でもこの先の言葉はわかってしまう
先程刺されたナイフを首元にかざされ、少し食い込むと生暖かいモノがツーッと重力に従い落ちていくのを感じる
パンッ
諦めて目を瞑ると控えめな銃声が聞こえた
重い瞼を無理やり開けると少し焦った様子の兄さんが居た
体が思うように動かない
恐らく神経毒でも塗ってあったのだろう
不幸中の幸いか首から上だけは動かすことが出来た
首をガクンと動かすと先程の女は額に穴を開け息絶えていた
「死にたくない」
本能的に頭によぎった六文字
助けてとまともに動かない手を兄さんへと伸ばすとそっと掴まれた
カチャッ
パンッ
兄さんは私の額に銃を突き付け微笑みながらその引き金を引いた
カチャッ
×太宰あなた
×放浪者
×【賭博者】
×固有魔法不詳
×実の兄に殺された可哀想な子←
『兄さん!なんでいやがんの?!』
×太宰治
×武装探偵社
×【人間失格】
×固有魔法不詳
×実の妹を殺したヤンデレ←
『殺したいほど愛してるよ♡あ、もう殺してたね』
編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。