第3話

#2
25
2024/06/15 08:13
【新人ライバーデビューのお知らせ】

本日〇月×日の18:00に、超大型新人のデビュー配信があります!






待機所:あなたのライバー名個人チャンネル


リスナー
リスナー
え、単独デビューまじか
りすなー
りすなー
運営からの情報これだけかよ
listener
listener
楽しみ過ぎて目から毛生えそう

































(なまえ)
あなた
うわ~…
(なまえ)
あなた
めっちゃ僕についてのポストあんじゃん
(なまえ)
あなた
まあそんなもんなのかな
(なまえ)
あなた
(なまえ)
あなた
エナドリ買いに行こ…
僕、あなたの名字あなたの下の名前は普通の高校生。
今年の春に実家から少し離れた高校に進学し、親に無理を言って一人暮らしを始めた。
実家は裕福な方でもないが、僕のために毎月仕送りをしてくれている。
そのお金で食費や公共料金を支払い、趣味に関してのお金はバイトで補っている。
しかし、元から人間関係が得意でない僕にバイトが務まるわけがなかった。
バイト先での上下関係、お客様との関わり方…。
人間と関わる場面を挙げればキリがない。
そのストレスから不眠や食欲不振が続く。
精神面の不調からバイトを辞めて、ずっと憧れていたにじさんじのオーディションを受け、今日がその初配信である。













そんなわけねえだろ。


















僕がライバーになった理由?そんなの簡単だよ。
お薬キメてふわーってして部屋を這いずり回りながらYouTubeをつけたとき、たまたま「にじさんじ」のライバーの配信やってて、そこでオーディションがどうこうとか言ってて、深夜テンションとラリに任せて気づいたら動画作って応募してたんだよ。
で何故か受かっちゃって、今日が初配信なんだよ。
初配信って何万人とか見に来るんでしょ?
メンタル豆腐以下舐めんな?死ぬよ?僕。
まずなんでこんなOD厨がオーディション突破してんだよ。
「にじさんじ」はこんな奴を採用したがるのか。


















とにかく配信はなんとかもたせないと。
終わったら、一杯自分を誉めてやろう。













(なまえ)
あなた
ああー…配信とかめんどくせえな…













コンビニでエナドリを3本棚から取り、レジへ持っていく。
店員と目を合わせると死ぬから、ずっと下を向いてパーカーの紐を指でいじる。
コンビニから出ると、向かいにある薬局に流れるように入る。






そして、いつものように風邪薬の瓶の入った箱と12本入りのカミソリを手に取る。









配信が終わったら、いっぱい自分を褒めてあげよう。







僕はマスクの下で少し微笑んで帰路についた。




















初配信がもうすぐ始まる。

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