足取りは重たい
メンバーの顔を見ることが怖い
そう感じてさえいる
いつまで経っても俺は初心で
いつの間にか遠距離になってしまうことも仕方がないのだろう
最初の頃はそう思えていたのに
最近では
無視されると
なんだかすぅすぅするような心持ちになる
誰にもみてもらえない
俺はみんなに何かできたわけじゃない
だけど、
愛されたいと願ってしまうのは
わがままなことだろうか
そんなことを考えながら歩いていると
いつの間にか会議室の前についた
ガチャッ
ドアを開けると
そこには脚を組んで座っているアニキとまろがいた
聞こえてるっつーの、
そんな言葉を口走りそうになり
慌てて息を呑む
ガチャッ
みんな楽しそうだな
まるで俺がいないかのように笑顔で話すみんなに
こんなにも醜い感情を抱く、
そんな自分が大っ嫌い
早くこの気まずい時間が終わることを
ただただ願うばかりだ
15分後
ガチャッ
なんだか、俺はこの空間にいないほうがいい気がした
編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!