直ぐに目覚めたと思ったら、その場所に見覚えはなかった。
きっと数時間前であろう出来事を思い出す。
一虎に、気を取られずきた?
そんなもの、言い訳にすらならないけど。
私を誘拐したって、何の関係もないのに。
これからどうしよ、なんて。
パンピー相手に呪術なんて使えないしなー、とか。
そんな事を考えて、扉が開くのを待つ。
がちゃっとタイミングよく開く扉に目を向けると、そこから入ってくる光はあまりない。
何事もなかったかのように扉から出てきた一虎に、最早怒りを通り越して呆れてしまう。
何とも言えないくらいだな、なんて呟いて本題に入る。
一虎の黒い瞳が深く、深く、闇に近くなった気がした。
想定外のようで想定内の言葉に言葉が詰まる。
まぁきっと、ネンショー行ってて会えなくなった…ってことなんだろうな。
そんな勝手な想像を巡らせていると、またガチャンと音が鳴る。
一虎は悪びれる様子もなく。
ぁ、と意識を失う前の記憶が蘇る。
ない、って思って。
焦りなんて1ミリもなくて。
もう1回、一虎の方に目を向ける。
ばちっと目が合う。
一瞬、焦りを出した。
___まぁ、こいつが見逃す訳ない。
肩が、ベッドに押さえつけられる。
少しでも、と足で蹴るけどびくともしない。
一虎の手に、さらっと私の髪が掬いあげられる。










編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。