第89話

73.無力感
385
2024/11/30 22:00 更新
直ぐに目覚めたと思ったら、その場所に見覚えはなかった。






蓮水あなた
(……まじで言ってんの、これ。)
蓮水あなた
(仮にも特級が、油断…していたとはいえ。)







きっと数時間前であろう出来事を思い出す。






蓮水あなた
(拉致られるとか、笑えない。)







一虎に、気を取られずきた?







そんなもの、言い訳にすらならないけど。






蓮水あなた
(…目的は、なんなんだろ。)
蓮水あなた
(やっぱり……東卍関連?)







私を誘拐したって、何の関係もないのに。







これからどうしよ、なんて。







パンピー相手に呪術なんて使えないしなー、とか。







そんな事を考えて、扉が開くのを待つ。






蓮水あなた
(一虎になんて言お、)
蓮水あなた
(っていうか今何時___)







がちゃっとタイミングよく開く扉に目を向けると、そこから入ってくる光はあまりない。






羽宮一虎
…あ、あなたおきた?
蓮水あなた
……おきたよ。







何事もなかったかのように扉から出てきた一虎に、最早怒りを通り越して呆れてしまう。






蓮水あなた
私、どれくらい寝てたの?
羽宮一虎
2時間、ってとこかな?
蓮水あなた
…そう。







何とも言えないくらいだな、なんて呟いて本題に入る。






蓮水あなた
で、
蓮水あなた
何で私を連れ去った訳?
羽宮一虎
……
羽宮一虎
そりゃ、







一虎の黒い瞳が深く、深く、闇に近くなった気がした。






羽宮一虎
もう、逃がさないためだよ。
蓮水あなた
……わーお。







想定外のようで想定内の言葉に言葉が詰まる。





蓮水あなた
(逃がさないとか言われても…逃げた覚えなんてないけどさ。)






まぁきっと、ネンショー行ってて会えなくなった…ってことなんだろうな。






そんな勝手な想像を巡らせていると、またガチャンと音が鳴る。






蓮水あなた
…え、







一虎は悪びれる様子もなく。






蓮水あなた
_____鍵、閉めたの?
羽宮一虎
そーだけど、駄目だった?
蓮水あなた
(…駄目、ってゆーか。)







蓮水あなた
(……閉める意味が、ないっていうか。)







ぁ、と意識を失う前の記憶が蘇る。









羽宮一虎
__女の子は、夜に俺みたいな奴と2人きりになったらだめってこと。









蓮水あなた
(……いや、んな訳。)







ない、って思って。







焦りなんて1ミリもなくて。







もう1回、一虎の方に目を向ける。






羽宮一虎
…やーっと、この状況の意味分かったんだ?







ばちっと目が合う。






蓮水あなた
…何の、事。
羽宮一虎
俺と、2人っきりでいるってこと…だけど。







一瞬、焦りを出した。







___まぁ、こいつが見逃す訳ない。






蓮水あなた
い゙っ、
羽宮一虎
…あ、ごめん。
羽宮一虎
痛かった?







肩が、ベッドに押さえつけられる。






蓮水あなた
(さすがに上からの力も…とか無理、逃げ出せない。)
蓮水あなた
(力の差が、ありすぎる。)







少しでも、と足で蹴るけどびくともしない。






蓮水あなた
(っくそ、が。)







一虎の手に、さらっと私の髪が掬いあげられる。






羽宮一虎
______ずっと、まってたよ。

プリ小説オーディオドラマ