第6話

┊͙ハーブティー┊͙
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2018/03/27 11:32

別の関係だったかもしれないと思って1週間が経った


この1週間で思い出したことは少ない


今日もカウンセリングで今からだ


輝瑠さんがまた帰りに迎えに来てくれるらしい


待合室で座って携帯のメモに脳裏で思い出す言葉を書いている


先生と本当に私は何にも無い関係だったの?


あの日から違和感がずっと頭の片隅にある


先生は「君と会った事は無いよ」の1点張り
いつ全部思い出すんだろう…
尚人
川上さん
え、あ、先生!
あれ、もしかして呼ばれました?!

先生が診察室から出てきた


考え事をしている間に呼ばれたのかもしれない
尚人
うん、中にどうぞ
すみません、ありがとうございます!

う〜〜、しっかりしろ自分


先生も中に入るとイスに座った


私の受けているカウンセリングは簡単に言うとただ楽しく話をするだけだ


中には悩みも相談してそれに合った薬も貰える
尚人
最近どう?
変わりない?
はい、特には
尚人
今日も帰りは彼氏くんが迎えに?
はい、でも彼氏って実感無くて…

輝瑠さんは心配性だ


私がどこに行くに連れても一緒に来てくれる


特に病院
尚人
そうだよね…
先生は彼女さん居るんですか?

この容姿なら居ても別に可笑しくない
尚人
僕は…んー…居たかな

過去形…?


別れたのかな…


マズイこと聞いちゃった?
尚人
大好きだよって伝えた後に居なくなっちゃった…



笑っているけど、どこか悲しそう


〝輝瑠、好きだよ___〟
…え



今、また…


〝だーから好きだってば〟



私の声……?


〝1人にしないから___〟

待って、待って___


頭の中がぐるぐる回って気持ち悪い


尚人
川上さん!
ゆっくり呼吸して

先生の声で我にかえり言われた通りゆっくりと呼吸をした


すると頭がすっきりしてきた
尚人
今日は診察やめておこうか
すみません…
尚人
ううん、受付には僕から言っておくね

お礼を言って診察室を出た


また、気を遣わせてしまった…


あの時の記憶は私だった


「輝瑠、好きだよ。」そう言ってた


だったら本当に私は輝瑠さんの彼女だった…?


「1人にしないから」って、誰を?


誰のセリフで誰に向かって…
怖い…

自分のことなのにどうして思い出さ無いんだろう


思い出そうとすると頭の中でガードされてるみたいだ


これ以上思い出すなって言われてる気分


もしかして私自身じゃなくて他の誰かが思い出すのを拒否してる…?
あ、そうだ輝瑠さんに連絡…

診察時間が早まったり遅くなったりしたら連絡しろと言われている


SNSを開いて輝瑠さんに連絡をするとすぐに既読の文字が浮かび上がった
看護師
川上雫さん
はい!

会計に呼ばれ財布を持って受付に行った
看護師
あ、お会計は大丈夫ですよ!
今回は一条先生からこれを預かったので
え、これ…

渡されたのはハーブティーのパックだった


このハーブティー見たことある…
看護師
睡眠不足には体の内側から温まれば安眠できるだろうって
お代は要りませんので
え、いえ!
払います!
看護師
いいんですよ〜、ここで払わせたら私がお叱り受けるので

耳元で言ってくれ私はお言葉に甘えて受け取った


寝不足って事気付かれてたんだ…


カウンセリングの先生だからなのかよく患者さんの事を見ている
看護師
それでは次の診察日は明々後日になりますね
はい、宜しくお願いします
看護師
お大事に

病院の外に出て診察室を見ると窓から先生が見えた


真剣な目でカルテを見ていると想いきや悲しそうな目をした


だれのカルテだろう


視線に気付いたのか目が合ってしまった
あ、えっと、あ!

ハーブティーのパックが入った紙袋を見せて頭を下げた


顔を上げると今度は優しい笑顔で手を振ってくれた
一条…尚人…

何か、何か思い出さないか


絶対一条先生とは前に会っている…
一条尚人…一条尚人……って、私周りから変な人だ

怖いな


輝瑠さんは彼氏、先生は___?
輝瑠
雫!

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