別の関係だったかもしれないと思って1週間が経った
この1週間で思い出したことは少ない
今日もカウンセリングで今からだ
輝瑠さんがまた帰りに迎えに来てくれるらしい
待合室で座って携帯のメモに脳裏で思い出す言葉を書いている
先生と本当に私は何にも無い関係だったの?
あの日から違和感がずっと頭の片隅にある
先生は「君と会った事は無いよ」の1点張り
先生が診察室から出てきた
考え事をしている間に呼ばれたのかもしれない
う〜〜、しっかりしろ自分
先生も中に入るとイスに座った
私の受けているカウンセリングは簡単に言うとただ楽しく話をするだけだ
中には悩みも相談してそれに合った薬も貰える
輝瑠さんは心配性だ
私がどこに行くに連れても一緒に来てくれる
特に病院
この容姿なら居ても別に可笑しくない
過去形…?
別れたのかな…
マズイこと聞いちゃった?
笑っているけど、どこか悲しそう
今、また…
私の声……?
待って、待って___
頭の中がぐるぐる回って気持ち悪い
先生の声で我にかえり言われた通りゆっくりと呼吸をした
すると頭がすっきりしてきた
お礼を言って診察室を出た
また、気を遣わせてしまった…
あの時の記憶は私だった
「輝瑠、好きだよ。」そう言ってた
だったら本当に私は輝瑠さんの彼女だった…?
「1人にしないから」って、誰を?
誰のセリフで誰に向かって…
自分のことなのにどうして思い出さ無いんだろう
思い出そうとすると頭の中でガードされてるみたいだ
これ以上思い出すなって言われてる気分
もしかして私自身じゃなくて他の誰かが思い出すのを拒否してる…?
診察時間が早まったり遅くなったりしたら連絡しろと言われている
SNSを開いて輝瑠さんに連絡をするとすぐに既読の文字が浮かび上がった
会計に呼ばれ財布を持って受付に行った
渡されたのはハーブティーのパックだった
このハーブティー見たことある…
耳元で言ってくれ私はお言葉に甘えて受け取った
寝不足って事気付かれてたんだ…
カウンセリングの先生だからなのかよく患者さんの事を見ている
病院の外に出て診察室を見ると窓から先生が見えた
真剣な目でカルテを見ていると想いきや悲しそうな目をした
だれのカルテだろう
視線に気付いたのか目が合ってしまった
ハーブティーのパックが入った紙袋を見せて頭を下げた
顔を上げると今度は優しい笑顔で手を振ってくれた
何か、何か思い出さないか
絶対一条先生とは前に会っている…
怖いな
輝瑠さんは彼氏、先生は___?
編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。