〜side阿部亮平〜
ふっか達の卒業式も終わり、俺達は遂に春休みに入った。
同時に蓮はサッカー部の合宿に行かなければならなくなったらしい。
他にもニュースは俺の耳に入ってきた。
なんとふっかと照、舘さんとしょっぴーの2組が付き合ったと報告が来た。
あと佐久間と康二もみんなに伝えるのを忘れてただけで、数ヶ月が経っているみたい。
いっぺんに来た報告には、なんとなく予想できていたからそんなに驚かなかった。
写真が送られてきたけど、みんな幸せそうで良かった。
少しの間ちょっと騒がしかったけど、俺と真都はのんびり穏やかな春休みを送っている。
そんな中、真都が俺と一緒に出かけたいと言い出した。
一応することもないからOKしたけど、今日はあいにくの雨なんだよね。
まぁ、雨の中のお出かけも楽しいかな。
傘をさして2人で道路を歩く。
真都って雨の中でも晴れてしまうような、元気の持ち主だよね。
真都が買いたかったのは参考書や勉強道具。
他にも服や雑貨、お揃いなキーホルダーとかいろいろ。
本当に可愛い弟だよね。
まだ雨は降っていたけど買い物が終わって家に帰ることにした。
信号が赤になったので、横断歩道で止まった。
その時、大きなトラックがこっちに向かってきた。
ここら辺って乗用車は多いんだけどトラックが通るのは珍しいなと思ってた。
あれ、雨の中...トラック...どっかで見たことある...?
そのトラックがゴォォッと音を立てて俺達の横を通り過ぎた。
やむことを知らない雨が俺ともう1人を叩きつけている。
トラックが俺達目がけてやってくる。
せめて俺を助けようとする傘をさしたままの逞しい大きな背中が目の前に。
でも何を思ったのか、横にドンッとその背中を押す。
「りょう、へい...?」
悲しそうな、驚いたような声で言う俺の名前。
その瞬間に俺の体に味わったことがないほどの大きな衝撃が襲う。
傘が舞い上がったその時、相手の顔が見えた...気が。
頭が割れそうなほどに痛い...!
急にその場に蹲る俺を見て、目を見開いて驚く真都。
誰...?誰だったの?
あの背中、絶対に知ってる。見たことある。
でも真都やふっかたちじゃない。
じゃあ、誰?
さっき見えた気がしたのに!
思い出したいっ!思い出さないとダメな気がする。
え?真都、蓮に電話してるの?
蓮...蓮...。
またさっきと同じ映像が思い出されて、傘の向こうに見えた顔。
痛みが加わって血が飛び散った...険しい顔をした...蓮だ。
そういえば、俺と同時期に入院してたな。
俺と同じ事故で。
それに今まで見てきた昔の映像にいた、思い出せなかった人も全部蓮っていうことになる。
...それが正解かな。
もうわけがわからなくなって、真都の言葉も聞かずに俺はゆっくりと目を閉じた。
次に夢を見る時は、蓮に会えますように。
〜side目黒蓮〜
何日間かのハードな連中漬けの合宿が今日で終わり。
これから帰ろうとしたその時に電話がなった。
珍しいなと思いながら電話に出たら、焦った声をしていた。
この言葉だけで亮平に何かがあったのは明確だ。
話を聞けばお出かけ中、急に亮平が蹲るほどの頭痛に襲われたらしい。
状況は雨の中、赤信号でとまっている時。
これって...あの時の。
やっぱり。
じゃあ亮平は思い出しちゃったってことね。
気を失った?
これ、かなりヤバいんじゃないの?
すぐに駆けつけたいけど、時間がかかるな。













編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。