第22話

君の花言葉[りょう]
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2020/02/06 11:52
[りょう視点]


「りょうの誕生花は美女撫子なんだって。」

「伊達男って意味もあるみたいだよ。」


頭から離れない、ある女の子の言葉。


別に好きじゃなかった。

その女の子が俺のことを好きなのはわかってた。

ちょっとした暇つぶしで付き合ったら

いつのまにか離れられなくなってた。

好きで、仕方なかった。

ただ、俺がこの子と生きるにはあまりにも

時間が足りなくて、

何度も、何度も泣かせた。

あれだけ会う時間が少なければ
浮気だと思われても仕方なかったなぁ。



最後に言った言葉があの言葉。

「りょうの誕生花は美女撫子なんだって。」

「伊達男って意味もあるみたいだよ。」

きっと浮気してるって思われてたんだろうな。





離れて3ヶ月、自分の花言葉を調べた。

「なんだ、美女撫子以外にもあるじゃん。」



離れて半年、その子がいつも落書きしていた
スケッチブックを見つけた。

よくこれに俺も落書きして笑ってくれてたな。

1枚、1枚、めくるたびに思い出す。

不思議と悲しいとか、辛いっていうのはなくて、
会いたい、それだけの気持ちだった。

最後のページには紅花の押花がはさまっていた。

「なんだよ、最初からそう言ってくれればよかったのに。」

6月11日の誕生花、紅花の花言葉は

大切な人、愛する力、だった。





……会いたいな。

俺もあと50年、60年後にはそっちに行くよ。


そしたら笑って紅花の花言葉を教えて欲しい。

教えてくれるまで、精一杯生きるから。


だから、離れてても笑ってて、もう泣かないで。

心配だろうけど遠く離れた空から、見守ってて。

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