夕食を食べて少し経った後、俺は屋上にいた。
ここに来たのは、死んじまった長宗我部を発見した時以来だ。
さしぶりにこの場所を見ると、体内から何かが吐き出そうな感覚になった。
…………氷見?
氷見にしては、随分強い”ウェイト”だった。
助けて…あげたい…?
俺は疑心暗鬼に陥った。
俺は、何もしなかった。
うなずいたり、首を横に降ることをしなかった。
氷見が珍しく、言葉を失っていた。
そうして、俺は自室に戻った。
せっかくいい所だったのに、どうして氷見がいたんだ?
ずっと時間が確保できない。
きっと、この時間こそ天国で長宗我部がそのように仕掛けているかもしれない。
俺が来るのを、きっと拒んでいるのかもしれないな。
つい最近話された、千歳のリーク情報を根拠にすると、な。
ふと、さっきの氷見について頭に思い浮かんだ。
実質一人になってしまった俺に、氷見が”助けてあげようか?”と言った―
きっと、俺は長宗我部から見たら、氷見のような存在だったかもしれない。
これは、考えすぎているのかもしれない。
長宗我部にとって、俺は邪魔者だったということを、ずっと引きずっている。
きっと長宗我部は生前、そんな事を一つも思っていなかったのかもしれない……
いいや、ホンーネ・ハナセール感染症の作用で本音が出た可能性もある。
どっちなんだ?
そろそろ演奏会も本番に近い。
こっちを優先して、過ごしていたほうがいいな。













編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。