第112話

第五章『正義の一歩は正しいか?』日常編7
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2026/03/31 06:21 更新
夕食を食べて少し経った後、俺は屋上にいた。

ここに来たのは、死んじまった長宗我部を発見した時以来だ。

さしぶりにこの場所を見ると、体内から何かが吐き出そうな感覚になった。
新井零次
新井零次
…………最近、上手くやってけてるのか、それとも違うのか、分からない。
新井零次
新井零次
やっぱ、長宗我部がいないと………ちょっと、よく分かんないっていうか。
新井零次
新井零次
…………っぱ、お前はすごかったのかもしれない。だって、こんな絶望的な場所にいたってさ。
新井零次
新井零次
長宗我部って、いつも明るくて、一緒にいる生徒だって、きっと楽しかったのかも………
氷見繋石
氷見繋石
どうして一人なのかな?新井君。
…………氷見?
氷見繋石
氷見繋石
そろそろ、君がここに来るんじゃないのかなって、思っていたら、まさかの図星ヒット
氷見繋石
氷見繋石
これは面白いよ。そろそろ心身ともに疲れてきたんじゃないのかなァ…………
新井零次
新井零次
何だ、急に俺の事を面白がって…………!!
氷見繋石
氷見繋石
待てウェイト
氷見にしては、随分強い”ウェイト”だった。
氷見繋石
氷見繋石
君を嘲笑するなんてことはない。
氷見繋石
氷見繋石
僕は、こんな君を助けてあげたいんだよ。
助けて…あげたい…?

俺は疑心暗鬼に陥った。
氷見繋石
氷見繋石
君の心を支えてくれる人が、もうどこにもいないんでしょう………?
氷見繋石
氷見繋石
だから、僕が新井君の心を埋めてあげよう………
新井零次
新井零次
………………
氷見繋石
氷見繋石
どうした?本当は、全員の輪に入っていたとしても、心なんかは満たされない。
氷見繋石
氷見繋石
こんな僕でも、きっと心の奥の孤独はなくなるはずさ………
俺は、何もしなかった。

うなずいたり、首を横に降ることをしなかった。
新井零次
新井零次
…………あぁ、氷見に助けられなくても、俺はなんとかやっていけると思う。
新井零次
新井零次
お前なんて……………
氷見繋石
氷見繋石
どうした?いつの間にか言葉が詰まっているようだね。
氷見繋石
氷見繋石
君の気持ちは、辛いほど分かるさ。
氷見繋石
氷見繋石
だからこそ。僕が…………
新井零次
新井零次
結構だ。
氷見繋石
氷見繋石
!!
氷見が珍しく、言葉を失っていた。
新井零次
新井零次
俺はもうここから離れる。別にアイツがいないだけで、疲れているなんてない。
そうして、俺は自室に戻った。

せっかくいい所だったのに、どうして氷見がいたんだ?
新井零次
新井零次
本当は、長宗我部を追悼したかったんだが、それがどうしてもできない…
ずっと時間が確保できない。

きっと、この時間こそ天国で長宗我部がそのように仕掛けているかもしれない。

俺が来るのを、きっと拒んでいるのかもしれないな。

つい最近話された、千歳のリーク情報を根拠にすると、な。
新井零次
新井零次
そろそろ長宗我部について悩むのを、やめたほうがいいな。
新井零次
新井零次
きっとコイツは、天国でもモテモテかもしれないから、一人ではなさそうだ。
新井零次
新井零次
俺の助けは、いらないのかも……………?
ふと、さっきの氷見について頭に思い浮かんだ。

実質一人になってしまった俺に、氷見が”助けてあげようか?”と言った―
きっと、俺は長宗我部から見たら、氷見のような存在だったかもしれない。
新井零次
新井零次
…………ごめんな、長宗我部。
これは、考えすぎているのかもしれない。

長宗我部にとって、俺は邪魔者だったということを、ずっと引きずっている。

きっと長宗我部は生前、そんな事を一つも思っていなかったのかもしれない……

いいや、ホンーネ・ハナセール感染症の作用で本音が出た可能性もある。

どっちなんだ?
新井零次
新井零次
………いや、こんなこと考えていたって、長宗我部について考えていたらよくないかもな。
そろそろ演奏会も本番に近い。

こっちを優先して、過ごしていたほうがいいな。

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