俺はこくりと頷く。
お兄ちゃんとの約束の話、全て話した。
2人ともあまりに真剣に聞いてくれるので、
自然な喜びが体を押し浸す。
その言葉に俺は耐えきれなかった。
大粒の涙が零れるのを感じる。
るぅちゃんは俺の背中を優しく摩った。
とても暖かいその手で。
あの後、ころんさんとるぅちゃんが
ご飯を作ってくれた。
それは今までにないような、暖かいご飯だった。
るぅちゃんがころんさんに何か話している。
が、あまり聞こえなかった。
るぅちゃんに案内されて、
俺はそのまま歩いていく。
ふと、後ろを振り返った。
ころんさんがいるかと思えば、
小走りでキッチンの方に向かっている。
はっきりと見えたという訳じゃないが、
どこか苦しそうであった。
精神的に、というのも当てはまりそうだが、
今のは"物理的"だった、そう示唆できる。
そうだ、るぅちゃんも心が読めるんだ。
るぅちゃんが扉を開けると、
俺の視界には広い部屋。
その言葉に、また心がじんわりと温まる。
部屋を出ていくるぅちゃんに手を振った。
ここが俺の部屋かあ。
自分の部屋なんて、嬉しいな。
この生活がずっと続きますように。
俺は密かに願い事をした。
編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。