第14話

第4章 その手で 2
22
2023/01/17 12:00 更新
カリファ・イヴ・サロス侯爵
カリファ・イヴ・サロス侯爵
サリー、毒はすでに確保済みかしら?
廊下を歩き、地下へ向かうベテランメイドサリーとカリファ。
サリー・ラッシュ/ベテランメイド
サリー・ラッシュ/ベテランメイド
はい、すでにルーネル憲兵より毒を預かっております。いつでも仕込めます
カリファは、地下へと続く階段を降りていく。その後へ続くベテランメイド。
カリファ・イヴ・サロス侯爵
カリファ・イヴ・サロス侯爵
ちなみに今晩の夕食のメニューは?
サリー・ラッシュ/ベテランメイド
サリー・ラッシュ/ベテランメイド
肉料理かと。エーフィ国の家畜の肉を仕入れたと、シェフが言っておりましたので
ワインの保管庫にたどり着く2人。大量にあるワイン。大抵の物は樽で保管されている。しかし、ごく稀に瓶で
仕入れる時がある。それは希少のものだ。
それを見てーー否、聞いてニヤリと笑うカリファ。
カリファ・イヴ・サロス侯爵
カリファ・イヴ・サロス侯爵
ちょうど良いわ。お父様は赤を好むから。さぁ、探すわよ!
サリー・ラッシュ/ベテランメイド
サリー・ラッシュ/ベテランメイド
カリファお嬢様、ご安心下さい。私が保管した為、場所の見当はついております
ニコリと笑うベテランメイド。
カリファ・イヴ・サロス侯爵
カリファ・イヴ・サロス侯爵
それならば、すぐに見つかるわね
樽が並んでいるさらに奥へ進む。そこには、ひっそりといくつかのワインラックが置いてあった。ベテランメイドが真っ直ぐに1つのラックに進む。立ち止まると、ジッと見つめ始めた。すると、突然手を伸ばし、1本のワインを取り出した。
サリー・ラッシュ/ベテランメイド
サリー・ラッシュ/ベテランメイド
こちらで間違いないでしょうか?
カリファ・イヴ・サロス侯爵
カリファ・イヴ・サロス侯爵
よ、よく一発で見つけたわね・・・。私には全部、同じに見えるわ・・・
ペコリとお辞儀をするベテランメイド。
サリー・ラッシュ/ベテランメイド
サリー・ラッシュ/ベテランメイド
お褒めの言葉、有難うございます
カリファはワインを受け取った。マジマジと見つめる。
カリファ・イヴ・サロス侯爵
カリファ・イヴ・サロス侯爵
これで仇を討てるわ・・・
カリファはベテランメイドにワインを戻す。
カリファ・イヴ・サロス侯爵
カリファ・イヴ・サロス侯爵
今日の晩餐から一緒に食べるよう伝えておいて頂戴
カリファは歩き出しだ。その後をベテランメイドもついて行く。
サリー・ラッシュ/ベテランメイド
サリー・ラッシュ/ベテランメイド
ご安心下さい。そうおっしゃると思い、厨房にはお伝え済みです
カリファ・イヴ・サロス侯爵
カリファ・イヴ・サロス侯爵
ふふ、さすがね。ーーさぁ、“ヴァシリアス”を取りに行くわよ
そう言うと、2人そろって地下への出口へと向かって行った。






























カリファ・イヴ・サロス侯爵
カリファ・イヴ・サロス侯爵
お爺さま、お母様、お父様・・・
カリファがのっそり食堂にあらわれる。そう、これは全て演技なのだ。まだ、処刑の事を引きずっているという。
心配そうにターラ公爵夫人が立ち上がる。
ターラ・イヴ・サロス公爵夫人
ターラ・イヴ・サロス公爵夫人
カリファ?!もう大丈夫なの?!
カリファ・イヴ・サロス侯爵
カリファ・イヴ・サロス侯爵
えぇ・・・でもずっと塞ぎこんでても仕方ないから
ターラ・イヴ・サロス公爵夫人
ターラ・イヴ・サロス公爵夫人
怖かったわよね・・・“誘拐”までされて・・・
カリファの眉が一瞬わずかに上がる。だが、すぐに表情を戻した。
ターラ夫人は嬉しそうに両手を合わせ、口元にもって行く。
ターラ・イヴ・サロス公爵夫人
ターラ・イヴ・サロス公爵夫人
でももう安心して!この城には命をねらう者はいないから、大丈夫よ!毒味も必要ないわ
ふふ、と笑うドーザ公爵。
ドーザ・サロス公爵
ドーザ・サロス公爵
そうだな・・・。しかしあの男、自分では“お嬢様には手を出しません。オレが死んでも守ります”って言っておきながら、あのガキ娘に手を出しやがって・・・。それに、守れてもいなかったしなぁ
ドーザのセリフで、ワインボトルを頭に打ちつけたくなったが、カリファは必死におさえた。
笑顔で、自分の席につく。
カリファ・イヴ・サロス侯爵
カリファ・イヴ・サロス侯爵
そうね・・・。もうこれで安全ね
ベテランメイドサリーが、カリファの椅子を引く。
同時に、食事の準備が開始される。次々と料理がテーブルの上に置かれて行く。
ロレンツォ・サロス・ランダ国王
ロレンツォ・サロス・ランダ国王
そういえば、カリファ・・・なんだか久しぶりに食堂で見たな
カリファ・イヴ・サロス侯爵
カリファ・イヴ・サロス侯爵
街に出てから、ずっと引きこもっていましたから・・・。みんなには、迷惑をかけましたわ
ターラ・イヴ・サロス公爵夫人
ターラ・イヴ・サロス公爵夫人
まぁまぁ、とりあえず、食事にしましょう!
ドーザ・サロス公爵
ドーザ・サロス公爵
そうだな・・・。久しぶりだからカリファ、お前が祈りをやりなさい
カリファ・イヴ・サロス侯爵
カリファ・イヴ・サロス侯爵
わかりました
4人とも同じポーズをとり始める。カリファも親指付近に額をつけ、目をつぶる。
カリファ・イヴ・サロス侯爵
カリファ・イヴ・サロス侯爵
『ディオよ、全てはディオの為に有り。今夜もパンとワインを頂きますーーディルカーラン』
目を開け早速、食前酒を1口飲む。甘めのロゼだ。
カリファは思い出したように、そうそうと嬉しそうに両手を合わせる。
カリファ・イヴ・サロス侯爵
カリファ・イヴ・サロス侯爵
街に出た時、お父様用にワインを購入をしたのよ!お父様、ワイン好きでしょう?
ドーザは食前酒を飲み終える。
ドーザ・サロス公爵
ドーザ・サロス公爵
そうか。ならばせっかくだ、頂こう
ベテランメイドサリーが、ワゴンをドーザの横まで持って行く。ワゴンの上には、ワインクーラーとグラスがおいてあり、丁度ワインを冷やしていたようだ。
赤ワインを見て喜ぶドーザ。
ドーザ・サロス公爵
ドーザ・サロス公爵
カリファ、わかっているではないか!ちなみに、どこ産だ?
カリファ・イヴ・サロス侯爵
カリファ・イヴ・サロス侯爵
たしか・・・ブールゴというところよ
ベテランメイドがコルクを開ける。毒味はするか否かを尋ねたら拒否をした。ベテランメイドが半分より少なめにグラスに注ぐ。
ドーザ・サロス公爵
ドーザ・サロス公爵
ブールゴか!よく入手したな。でかしたぞ、カリファ!
ドーザは嬉しそうに、グラスを持ち上げ傾けて色を確認する。白フキン越しなので色がよくわかる。そして香りを嗅ぐドーザ。
カリファは緊張し、思わず食べる手を止め見入ってしまっていた。しかし、ロレンツォ国王が美味いなぁ、とぼやき、ハッとしカリファもゆっくり食べ始めた。
カリファ・イヴ・サロス侯爵
カリファ・イヴ・サロス侯爵
やっぱり、みんなと一緒に食べますと料理も美味しいですわね
ターラ・イヴ・サロス公爵夫人
ターラ・イヴ・サロス公爵夫人
そうね、久々にカリファの顔が見れて嬉しいわ
ドーザがワインを少量、口に含んだ。舌の上でワインを転がし、酸味などをチェックする。そして、もう一度香りを確認する。
毒はすぐには効かないようだ。聞いた話だと、先にめまいがし、ゆっくりと眠るかのように効いてくるらしい。
ドーザ・サロス公爵
ドーザ・サロス公爵
ふむ・・・、今日の料理に合いそうだ
そして、もう一口飲み喉ごし等を確認する。
ドーザ・サロス公爵
ドーザ・サロス公爵
香りも良い・・・。これは飲み過ぎてしまうかもしれないな
嬉しそうに笑うドーザ。カリファも“嬉しそうに”両手を口元に持っていった。
カリファ・イヴ・サロス侯爵
カリファ・イヴ・サロス侯爵
ふふ、お父様・・・、飲み過ぎは危険ですよ
ターラ・イヴ・サロス公爵夫人
ターラ・イヴ・サロス公爵夫人
そうよ、本来は食事用のワインなのよ。たしなむものではないわ
ドーザがグラスをテーブルに置き、おかわりを要求する。
ドーザ・サロス公爵
ドーザ・サロス公爵
たまには良いだろう。あぁ、多めに頼む
サリー・ラッシュ/ベテランメイド
サリー・ラッシュ/ベテランメイド
かしこまりました
カリファはそんな様子を嬉しそうに見ながら、料理を口に運ぶ。そう、カリファの目には、死神の鎌がドーザの喉元にあるように見えて、仕方ないのだ。刻一刻こくいっこくと、死へのフィナーレがーー。
先に食べ終えたのは、ターラ夫人だった。食後用のワインを待っている。国王もまもなく食べ終わろうとしている。
ターラ夫人がそういえば、と切り出す。
ターラ・イヴ・サロス公爵夫人
ターラ・イヴ・サロス公爵夫人
カリファがくれた街のお土産良かったわぁー!なかなか、センスがあるじゃない
ロレンツォ・サロス・ランダ国王
ロレンツォ・サロス・ランダ国王
むっ?私はもらっていないぞ、カリファ
ふふっ、と笑うカリファ。
カリファ・イヴ・サロス侯爵
カリファ・イヴ・サロス侯爵
お爺様のは、あえて白ワインを用意致しましたわ
カリファがベテランメイドサリーにお願いする。
すると、丁度ワインクーラーに入っていた白ワインを取り出した。それを、持ち国王の元へ寄る。代わりにベテランメイドの位置に中堅メイドが入り、ドーザの世話をする。しかし、すでに目は虚ろだ。
ワイングラスを再び、テーブルに置く。
ドーザ・サロス公爵
ドーザ・サロス公爵
アララリィ・・・あう、せ・・・
もはや呂律が回っていない。注ごうとした中堅メイドを止める、ハクロ執事。
ハクロ・ヒューザリア/執事
ハクロ・ヒューザリア/執事
やめなさい。旦那様、部屋で一度休みましょう
ドーザ・サロス公爵
ドーザ・サロス公爵
あ、ぁ・・・
はしたなくも、口からよだれまで垂らしている。執事は、眉間にシワを寄せた。ーーこれは明らかにおかしい。
執事が、中堅メイドに医者を呼ぶように小声で伝える。そして、ドーザの腕を肩に回す。異変を感じ、ターラ夫人が心配する。
ターラ・イヴ・サロス公爵夫人
ターラ・イヴ・サロス公爵夫人
貴方、大丈夫?
ドーザ・サロス公爵
ドーザ・サロス公爵
っ〜・・・ぁ〜〜・・・
もはやなにを言っているのかわからない。
執事が、ドーザを担ぎ上げたその時だ。バランスを崩し、その場で倒れた。
ターラ・イヴ・サロス公爵夫人
ターラ・イヴ・サロス公爵夫人
貴方?!
カリファ・イヴ・サロス侯爵
カリファ・イヴ・サロス侯爵
お父様?!
ロレンツォ・サロス・ランダ国王
ロレンツォ・サロス・ランダ国王
ドーザ!!!
カリファは慌ててドーザに駆け寄り、しゃがみ混むと身体を揺さぶった。そして、涙目になる。
カリファ・イヴ・サロス侯爵
カリファ・イヴ・サロス侯爵
お父様?!お父様!!!
執事が脈拍数を測る。
カリファは、ドーザにうずくまるように、その場で泣いた。しかしその時ドーザの耳元でささやいたのだ。
カリファ・イヴ・サロス侯爵
カリファ・イヴ・サロス侯爵
ーーチェックメイト・・・
カリファは立ち上がり、よろめくフリをする。その様子を、ドーザは遠くなって行く意識から見つめていた。カリファに腕を伸ばすドーザ。
ドーザ・サロス公爵
ドーザ・サロス公爵
か・・・ファ・・・
ドーザは、執事によって寝室に運ばれていった。
カリファは、お爺様、とつぶやく。そして、国王に振り返り、敬礼をした。
カリファ・イヴ・サロス侯爵
カリファ・イヴ・サロス侯爵
もし、お父様の身になにかありましたら・・・是非私に政治をやらせて下さい
国王を腕の隙間から見る。その目は“復讐”と“野心”が込められていた。その視線に思わずゾクリとする国王。ーー父親がこんな状態なのにも関わらず、もう政治の話だと?それにこの目つきなにを考えている?
国王は半ば恐怖心に押され気味に頷いた。
ロレンツォ・サロス・ランダ国王
ロレンツォ・サロス・ランダ国王
い、いいだろ・・・。しかし、カリファはまだ若い。後ろ盾はしてやるぞ
カリファ・イヴ・サロス侯爵
カリファ・イヴ・サロス侯爵
ありがとうございます。それでは、私は少しお父様の様子を見てきますわ
カリファの言葉にうなずく2人。敬礼をやめ、カリファは食堂を出て行った。
カリファは廊下を歩みながら、喉奥で笑った。
カリファ・イヴ・サロス侯爵
カリファ・イヴ・サロス侯爵
お父様・・・知っております?血は争えないのですよ。そう・・・私がプリンセスなの

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