何も知らされないまま言い渡された 、
初めての 「死神のバディ」 としての任務 。
ぐちつぼは私の不安を一切察することなく 、
現場に着くなりあっけらかんとした調子で言った 。
…… 説明 終わり?
戦闘慣れしているとはいえ 、
さすがに素手は無理がある 。
それも … あんなおぞましい生物相手に 。
目の前にいるのは どう見ても人間じゃない 。
黒いもやをまとった 、異形の化け物 。
牙がやたらと光って 、
ぐちつぼの4倍ほどはあるだろう大きさ 。
普通の人間なら悲鳴を上げて逃げるところだ 。
なのにぐちつぼは 、
ポケットに手を突っ込んだまま退屈そうに欠伸していた 。
そう言って彼は 、
どこからともなく取り出した大鎌をこちらに突き出す 。
先程までの明るいテンションとは打って代わり 、
だるそうな声で私に丸投げしてきた 。
軽く嫌味を言いながらも 私は鎌を握りしめる 。
触れた瞬間 、身体にスッと馴染むような感覚が走った 。
これが私の力 、どんな武器でも扱える能力 。
おかげで長年使っていた武器のように鎌を振り回せる 。
斬撃が決まる 、確かに当たっていた 。
でも … 効かない 。
化け物はぐらりと揺れるだけで 、
何度切りつけても立ち上がってくる 。
鎌を振る腕は疲れてきてるし 、汗も額を伝う 。
苛立ちが声に漏れた そのとき 、
背後からのんきな声が降ってきた 。
振り返るより早く
私の手から鎌がひょいっと奪い取られる 。
ぐちつぼは肩に鎌を担ぎ直し 、
私の前に出て
爆音の掛け声と共に地を蹴った 。
次の瞬間 空気が裂けるような鋭い一撃 。
化け物は声にならない悲鳴を残して 、
煙のように掻き消えた 。
たった一撃 、なのに ……
私は口をぱくぱくさせながら 、
短く言葉を漏らすことしかできなくなる。
そして ようやく声を振り絞ることができた。
出てきたのは呆れも混じった諦めの言葉 。
頭の中で文句がとめどなく溢れてくる 。
ぐちつぼは語尾を上げて煽るようにそう言った 。
正直色々言いたいことはあったが 、
先程の戦いで体力を消耗しすぎた 。
もう疲れて何も言う気になれない 。
深くため息をついてから 、
ぐちつぼの頭にチョップを落とした 。
講義の目を向けられていたが 、
気付かないフリをして耳を塞ぐ 。
まだ一日目だけど私 、
コイツと上手くやってける気がしません 。
初任務はこうして
派手に空回りをして幕を下ろした 。












編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。