第103話

ごめんね。*°
720
2020/08/30 13:28



プルルルッ__プルルルッ__カチャッ






ただいま近くにおりません__ピーっと鳴りましたら……プツッ__





何回電話をかけても返事はなく、機会の音声が流れるだけ。
留守電の音声に連絡を残しておいたが反応はない。
沙鶯
クソっ…どこ行ったんだよ…

いなくなってから6時間。


夜の町を探す__


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


▽▽


"沙鶯、好き"


"つぐみは諦めないもん"


いつも貴方は真っ直ぐで、告白を断ってもめげずに毎日告白してきて…


毎日着たくもないお母さんからの服を着させられて苦しいはずなのに笑顔で笑って話しかけてくれる。


そんな貴方を俺は…










抱きしめて守ってあげたいと思った__


今頃本当の気持ちに気づくなんて遅すぎだろ。









ピコンッ__



沙鶯
っ!


つぐみさんからの連絡がやっと来た。



(無事でありますように…)



祈りながらチャットの画面を開く。











⚪︎沙鶯、ごめんね。約束破る⚪︎









沙鶯
…は?


約束破る…。


俺とつぐみさんが約束したこと。



沙鶯
っ!…まさか…!!間に合え俺…!!


全力で走って向かうのは、俺とつぐみさんが初めて出会った場所__


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▽▽


−6時間前−





っ!離して!


「嫌だよ、やっと捕まえたのにー。ね、早速行こうか」

っ…どこにですかっ


「どこにって…ホテルだよ、初夜といこうか」

っ!?


何…言ってるのこの人っ…。


追いかけられたと思ったらホテル行こうって…。


つぐみっ…貴方のこと知らない…


「えー、酷いなぁ。俺たち恋人でしょ?」
え…


「俺が道に物落とした時、笑顔で渡してくれたじゃん。運命だって思ったよ」



それだけで…?


怖い…
さ…おう…


「……ねぇ、俺たち恋人なんだから他の男の名前出さないでよ」

いっ…た…

ぐっと腕を握られる。


痛い…怖い…。


でも沙鶯と約束したから。
知らない人にはついていかないようにするって。


だから…っ
貴方にはついて行きませんっ…離してください
じゃないと警察呼びます…っ


「…沙鶯君に何かあってもいいの?」
っ!


沙鶯が何かされるの…?
なんで?僕だけしか関係ないのに…!



「つぐみ君が言うこと聞かないなら沙鶯君から潰さないとねー、そうしたら邪魔者もいなくなるし」

っ!それだけはやめて!


沙鶯がつぐみのことで傷つくのは嫌。


つぐみ、沙鶯に迷惑かけたくないから…。






…ならいつも通り我慢すればいいでしょ?






そうだ…つぐみは我慢するのに慣れてるんだから。


沙鶯が傷つかなければいい。



「つぐみ君がそう言う態度とるなら俺沙鶯君の所行こうかなー」

…行きます


「んー?」

行きます…から。…沙鶯の所には行かないでっ


「つぐみ君、いい子だねー。早速行こうか」

っ!その前にっ…


少しでも沙鶯から距離を取ることができるように時間稼ぎをしなきゃ。


今出会ったら大変なことになる。


上手に演技できるかわかんないけど…沙鶯の為だから。


お母さんから無理矢理覚えさせられた女の子の真似で。


つぐみねっ?お付き合いする人ができたら、えっちする前に沢山デートしたいのっ
だから、今から沢山デートしてそこからえっちしよ?


「っ!いいよいいよ。沢山デートしようね?つぐみ君?」

うんっ



我慢には慣れてるんだから…つぐみが我慢しなきゃ…。


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


▽▽


一緒に街中を歩いて、食事をして…。


沙鶯といる時間はあっという間に過ぎるのに、この人といる時間は長くて気持ち悪い。


6時間は耐えた。頑張って笑って遊んで…。



時刻は22:00時。



そろそろホテルに行く時間だ。


「楽しかったねー。じゃあそろそろホテル行こうか」


うんっ…その前にトイレに行ってもいい?


「いいよ、でも逃げないように俺も近くにいるから」


ガチャッ__


わざと個室のトイレに入る。


…はぁ
…っ!


久しぶりにスマホを開くと、沙鶯からの着信とチャットの通知が沢山来ていた。



⚫︎どこにいますか?⚫︎


⚫︎返信待ってます⚫︎


⚫︎場所わかったらすぐに行きますから⚫︎
〜っ…


ごめんね…沙鶯…。


沙鶯につぐみの初めてもらって欲しかったのに…。


ポチポチと沙鶯にチャットを打つ。


…ごめんね



⚪︎沙鶯、ごめんね。約束破る⚪︎


デートだって、一緒に食事だってしたかった。


約束、ずっと守ってたのに…。




「つぐみ君、そろそろ行くよ」

うん


つぐみの願いは叶わない。






▽▽



ゆっくりゆっくり歩く。


人気の少ない路地に入ると、沢山のホテルが並ぶ道に出る。


「どこがいいかな〜」

つぐみっ、初めては綺麗な所が良いっ


「積極的だね?俺張り切っちゃおうかなー」


道を歩きながらホテル街を見渡す。


どれも明るく光っていて、腕を組みながら歩くカップルや路地裏でキスをしているカップルもいる。


つぐみも沙鶯と行きたかったのに。



「ぁ、ここここ。一番評判が良いホテルだよ」


っ!じゃあここがいいっ!


「わかった。じゃあ行こうか…」




手を取られてホテルの入り口に入る。












沙鶯
っ!見つけた…!
ぅぁっ


ガシッと反対側の手を掴まれた。


っ!さおう…っ
沙鶯
はぁっ…ほんと…何やってるんですか…


息が荒い…。


走って来てくれたの?


なんでつぐみの為に…。



「チッ…んだよ君。俺たちのデート邪魔しないでくれる?」


沙鶯
は?デート?…何言ってんだよ…
ひぁっ…


グイッと沙鶯に引っ張られ、抱き寄せられる。


沙鶯
この人は俺の"大切な人"だ…触るな
っ!


大切な人…っ。


沙鶯
帰るぞ…"つぐ"
〜っ!!


今…つぐって呼んでくれた…!!



「お前…邪魔すんなよ…っ」



ガッっと沙鶯の首元を掴む。
沙鶯
ぁ?…触んじゃねぇよ。…クソ、琥珀よりうざいな…


「ひっ…」


沙鶯
いいか、次つぐに何かしたら許さねぇ。また後追ってきたら警察に突き出すぞ


「っ!」


沙鶯の言葉に怯えて逃げていく。


あのっ…さおう…
沙鶯
っ…本当に…
ん…


ぎゅうっと抱きしめられる。


沙鶯
俺が話聞いていれば…こんな怖いことさせなかったのに…
沙鶯のせいじゃないよっ。つぐみが自分で着いて行ったのっ…
あとっ…約束…破ってごめんなさい…


沙鶯との約束を破ってしまった後悔でぽろぽろと涙が出る。


後悔先に立たずってこんな感じなんだ。


沙鶯
泣かないでください?つぐみさんが傷ついてなければ良いんです
沙鶯
それに…俺が一番に抱けるから
えっ…?
沙鶯
っ!…っあ〜…くそ、早まった…


自分が言った言葉に気づき、少し頬を染めて腕で顔を隠す。


沙鶯
最近…つぐみさんを見ると…守りたいって思うようになってて…
沙鶯
今日、離れてから失いたくないって思いました
沙鶯
もう…俺のそばから離れないでください
〜っ!!


約3ヶ月。


ずっと待っていた答え。


毎日毎日告白して断られて…。
でもつぐみの告白は少しずつ沙鶯に伝わっていた。


こんなに嬉しいのは初めて…っ。


本当につぐみでいいの?こたは?
沙鶯
ぅ…痛い所突きますね…
沙鶯
こたさんのことはきっぱり諦めました。今はつぐみさんしか考えられないです
〜っ!!


ドキドキッ…


あ…れ…。


こんなに告白するのって恥ずかしかったっけ…。


さおう…っ…すき…
好きっ、大好き…っ


いつもならちゃんと言えるのに。


ドキドキして沙鶯のこと見られないっ…。


沙鶯
…ねぇ、俺の顔見て言って下さいよ
沙鶯
いつもみたいにその可愛い顔で
〜っ!?


グイッと顔を上げられ、目と目が合う。


顔が赤くなるのがわかる。


けど…今はそれより嬉しい気持ちが勝っててなんでも言えそうだ。

〜っ!!…沙鶯…好き…大好きっ
沙鶯
っ…俺もです…つぐみさんの頑張る姿に惚れました
ん…♡


僕にとってのファーストキス。


暖かくて…優しい。
沙鶯
お付き合い、してくれますか?
はいっ…!


つぐみの気持ちは届かないって何度も思ったけど、沙鶯にはちゃんと伝わっていた。


これからどんなことするのかな。


2人で沢山思い出作りたいです。










さおつぐやっとお付き合い開始です〜!!
ですがまだまだこの2人には色々あります。
見守ってくださると嬉しいです。


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次回はどの子を書こうか考え中です。


次回もお越しください〜!!

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