はははっ!俺はそういうの大好きだけどな!
そう言って電話越しに豪快に笑ったのは、孤爪くんと私が騒がれ出して2週間後、突然連絡してきたやっくんだ。
カフェで話し合ったあの日からは1週間と少し。私たちは結局、この騒ぎに関して何も言わないことにした。
すると狙い通り、何も言わずいつも通りの活動を続ける私たちへの注目がさらに集まった。『もしかしてがちでできてる!?』と。
否定も肯定もしない。この挑戦的な行動に、恐怖がなかった訳では無い。
やっくんのように高く評価してくれる人ばかりじゃない。世間には、『はっきりしろ』とか、『説明しろ』とか、そんな声があるのも知っている。
それでも私は説明をするつもりはない。あなたの活動名の名前をもっと世界に広めるため。そして…
彼との関係に、名前を付けて終わらせないため。
流行と同じだ。人は飽きる生き物なので大丈夫。…だろう。多分。
正直自分たちの影響力ってやつがどの程度なのか把握出来ていないけれど、さすがにこのまま引きずり続けるなんてことはないだろう。
これはチャンスだ。敢えて何も言わずいつも通りにやってみよう。そしたら、世間がもっと私たちに注目する。
彼女からされたのは、一歩間違えば炎上にも繋がりかねない、命綱無しで崖登りをするようなリスキーな提案だった。
そんな危ないことをらするような柄では無かった俺だけど…少し、興味が湧いた。
注目を浴びるのは間違いない。俺たちを知らない人達が、俺たちを認識するチャンスだと思った。
この行動が、今後にどう繋がるのか…。挑戦的実験とも呼べる。
いつも通りに配信をしたら、案の定リスナーは騒ぎまくった。俺たち関連の言葉が、3つ4つトレンド入りしたし、作戦は見事に成功したと言える。
…何よりうるさかったのは、身内…つまり、今現在電話を掛けてきているクロもそうだし、高校時代の同級生なんかからも連絡が来る始末だった。
意外だとでも言いたげに、クロの声のトーンが上がった。確かに、俺もそんなイメージは無かった。
どちらかと言えば堅実派で、実直に真面目に正攻法で取り組む人だと思っていた。
でも実際のところ案外リスキーなこともするし、正攻法どころか寧ろ裏道を探してズルをするタイプ。
言われてみれば確かにそうだ。否定も肯定もしない。それはつまり沈黙だ。沈黙は了解、という言葉もあるし…このまま黙っていたら、肯定した事になってしまうかもしれない。
もしそうなったら、付き合ってください、という言葉が偽りになってしまうんじゃないだろうか。俺の言葉が、薄くなっちゃうんじゃないだろうか。
いや、でも既成事実を作るのもありか。視聴者の間で勝手に付き合ってることにされたら、断りづらい告白になるんじゃ…
ボソリと零れた独り言に、クロが反応した。なんでもないと返しながら、『やっぱダメだよ』と、心の中で自分に言い聞かせた。
断りづいからOKした、なんて嫌だし。ちゃんと、好きになって欲しい。好きだからOKして欲しい。
クロとの電話を終え、俺は携帯でXを開いた。
相変わらず騒がれている『KODZUあなたの活動名の頭二文字』という言葉。悪い気分はしないけれど…
携帯を握る手に、少し力が籠った。
関係ないけど自分らの学年、インフルエンザが流行って学年閉鎖になったんだよね。多分修学旅行で東京から持って帰ってきたんだろうね。
冬休み近いからさすがに一週間も休めなくて2日間だけだけどすっごい嬉しい。
ちなみに私はめっちゃ元気です。だからすごくラッキー。
皆さんも体調には気をつけてくださいね
さて、いよいよこのお話も40話。そろそろ終わりが見えてきましたかね。
このお話が終わったら夜桜さんを投稿しようと思ってたんですけど、実は角名の夢も書き進めてまして
もしかしたらそっちになるかもですが…投稿されるまでのお楽しみってことで
ではスクロールお疲れ様でした。長々とすみません













編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。