恭平side
ドア越しから
『みっちー!!!』
そう叫ぶ謙杜の声が聞こえた。
急いで部屋を出ると、俺は、
涙目になっとる謙杜と、
俺らのいない方向に向けてスーツケースを転がすみっちーがおった。
俺も謙杜みたいにそう叫んだ。
もしかしたら謙杜も同じ気持ちやったんやないかって。
けどそれ以上に、
みっちーに止まってほしかった。
もしここで止められんかったら、、もう永遠に会えない気がした。
けどそんな俺の願いは届くことなく、下を向きながらみっちーは歩いていく。
怖い。
みっちーと離れることが。
嫌だ。
みっちーと離れることが。
そう思うと、がむしゃらにみっちーの方に走り出した。
みっちーの左手を掴んだ時、そう叫んだ。
ここで名前を呼べなかった。
そんな勇気、俺にはなかった。