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第1話

95
2024/01/15 08:56 更新
「笑って。それがぼくの、たったひとつの願いだよ。」
昔、誰かに言われた言葉。誰に言われたか、もう思い出せない。でも、俺はその言葉を覚えてる。

キーンコーンカーンコーン
「りうらー、今日カラオケ行かない?夏希さん今日シフトでさー」
授業が終わると同時に俺に話しかけてきたのは俺の親友、ないこ。年上のお姉さんが大好きで、最近はカラオケの「カラジャン」でバイトしている'夏希'さんに猛アタックしている。ないこはピンク髪の派手髪で、ピアスバチバチだけど、一途でイケメンだと俺は思ってる。でも一見めちゃくちゃチャラそうだから距離とられちゃうんだよね...いいやつなんだけど。
「えー、今日はアニメの再放送があるんだよねー。」
今日は俺の愛するアニメである「魔法使いプリキュア」の再放送日なのだ!!(実在します)
「またそれかよー!先週も同じこと言って断ったじゃん!付き合い悪くねー?まあ見たいならしょうがないか。じゃあ他のやつ探すわ。いつか行こうな!!」
文句を言いつつも俺のしたいことを尊重してくれる優しさ。こういうところが良いんだよなー。
「うん。ごめん!次は行ける日に俺から誘うわ。」
「ん。絶対誘えよ!待ってるからな!」
太陽のような笑顔で俺に笑いかけてないこは去っていった。
アニメを見ながら絶対にポテトは必須。買って帰らないと。そう思って俺は某ハンバーガーショップへ立ち寄った。他の学校も放課後のようで、たくさんの学生がいた。
「今日はこの先輩がおごってやる!感謝したまえ!!」
「ありがとうございます!ごちそうさまです!」
どこぞの学校の先輩後輩の会話も聞こえてくる。この雰囲気、好きだな。と順番待ちをしていたところで、「次のお客様どうぞー」と声をかけられた。
「ご注文はどうなさいますか?」
「Lサイズポテトを3つお願いします。」
ふっふっふ。昨日おこづかいをもらったばかりだから今の俺にはお金があるのだ!
「かしこまりました。ドリンクはおつけいたしますか?」
うーむ。財布は潤っているが、俺には2週間後に出るフィギュアを買うという使命がある。いや、でも久しぶりの再放送だし、奮発しよう!
「じゃあ...コーラをMサイズでお願いします。」
「かしこまりました。ご注文は以上でよろしいですか?」
「はい。お願いします。あ、持ち帰りでお願いします。」
「はい、では合計で1380円になります。」
結構するなあ。こんなに買ったの久しぶりだ。

「ありがとうございましたー」
えへへ。いっぱい買ってしまった。はっ!あと20分で始まってしまう!急がなくては!
ドンッ バシャ
「え、」
「あ、」
急いでいたせいもあってか、どこかの学校の人にぶつかってしまった。
「あっごめんなさい!!すみません、急いでて。」俺はどうしたら良いか分からず、わたわたと慌てふためきながらオロオロとしていた。すると、
「あ、こちらこそすみません。」
と、高めの可愛らしい声で謝り、その人はすっと立ち去っていった。
ふわり。立ち去っていったとき、かすかに懐かしい匂いがした。なんの匂いだろう。どこかで嗅いだことある匂い。
数秒、固まり、ふと自分の胸が冷たいことに気づいた。
「って、待って、俺濡れてるし!しかもあの人にコーラかけちゃったんだけど!」
気づいて声をあげたときには、もうその人は人混みに紛れ、見えなかった。

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