第7話

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2025/09/07 09:05 更新


















あなた
_____今回の仕事内容は、ビル爆破予告の対応だそうです

私は国木田から渡された資料を見ながら、

太宰と谷崎に淡々と説明していく。

谷 崎
…は、はあ

太 宰
…よくもまあそんな事を淡々と真顔で説明出来るねえ
太 宰
沢山の人の生命がかかっているのかもしれないのだよ?


あなた
そうですね。でも対応を任された我々が焦っている訳にも行かないでしょう


太宰のほわほわとした偽表情の中に潜む

鋭い視線に怯むことなく、

私は目を据えてただ意見を述べる。


谷 崎
た、確かに、それはそう…

あなた
そして今回は国木田さんから新人の私がおふたりに指示しても良いと言われたので、早速ですが、私から初めに一つ、おふたりに指示させてもらいます
 
太 宰
ああ



淡々と告げた。

あなた
私が犯人を捕まえるので一般人の対応は頼みます



太 宰
ああ、うん……、………え?


谷 崎
えッ、一人で捕まえるの??


あなた
そうですね
 
谷 崎
それは流石に危険なンじゃ…

あなた
大丈夫です
あなた
犯人の目星も、予告文を分析したので大体ついていますから

谷 崎
え、すご…

あなた
というわけなのでよろしくお願いします。それでは。


私はそう言って、その場から立ち去った。



























谷 崎
_____太宰さん、大丈夫なンですかね?一人でなんて…



だってこれ、と谷崎が続ける。






谷 崎
入社試験ですよね?





太 宰
……そうだねえ
太 宰
これは犯人を捕まえる捕まえないというより、探偵社員たる素質があるかどうかの真贋を見極めるものだし…

太 宰
…谷崎くん、敦くんか国木田くんを呼んでくれるかい?私はこっそり彼女を追うから



谷 崎
わッ、分かりました







太宰は、口角を上げて呟く。



太 宰
霜月あなたの偽名の入社試験……


太 宰
全く予想がつかないね



















陽の当たらない、とある路地裏。

カタカタカタ、とキーボードを叩く音が鳴る。



この暗闇。この異様なまでの静けさ。


いやあ、心地が良い。


裏社会から抜け出せない"情報屋"という存在にとって、

ここまで安住の地と言える場所は無いだろう。


あなた
_____爆破予告なんてした馬鹿者の居場所は…


ゴォン、電子音が鳴る。


あなた
お、ナイス

2人と会話する10分前に、

荒削りなカマをかけた甲斐が有った。



あなた
で、発信場所は…



口を開いたその瞬間、



私は気配を感じて振り向いた。




あなた
……!



振り向いた先。視線の端に、砂色外套の裾が見える。


ゆっくりと上に顔を上げると、そこに居たのは勿論。




太 宰
やァ



あなた
…着いて、きたんですね



私は僅かな動揺も見せないように、

全力で心を落ち着かせる。


太 宰
嗚呼、勿論。こーんなに綺麗な新人さんがいきなり一人で犯人逮捕だなんて、心配するだろう?


太宰が腕を広げながら、態とらしく言う。

あなた
(よく言う。どう考えても他の理由だろ)


あなた
…すみません。こんな簡単なものなら、お二人の手を煩わせずとも私一人でも出来るだろうと思いましたので


太 宰
ふうーん、そう……。


太宰は私の背後にある物を見ながら、

「ところでさあ」とにっこり、微笑みながら言う。




太 宰
君、電脳機器パソコンの使い方がまるでハッカーみたいだね





……ああもう、矢張り面倒くさい男だな。





あなた
有難う御座います


太 宰
一体何処でこんな技術身に付けるんだい?


五月蝿いな…。


あなた
数年前に他界した両親が市警でそういう役割を担当していたので、教えて貰いました


まあ全部そういう設定だけど。


こういう場合も予測して、高城と一緒に

霜月あなたの偽名の設定を隅々まで決めたんだからね。



太 宰
へええ、そう。それは初耳だね

あなた
特に言ってませんからね

太 宰
それで、犯人の居場所は掴めたのかい?



あなた
ええ、まあ。

私が電脳機器の方に向き直ると、

太宰が後ろから覗いてくる。


太 宰
おやおや…、これはGPSかい?一体何時こんなものを

あなた
違いますよ。これは蛍光物質の含まれたインクで作られた発信塗料です


太宰の言葉を遮って口を開く。


あなた
先程お2人と合流する時、私はわざわざ赤レンガ倉庫の前で集合しましょうと言いましたよね

太 宰
確かに言ったねえ


あなた
その数分前に、少し荒削りではありますけど犯人を嵌めていました

太 宰
…犯人が分かっていたのかい?

あなた
予告状は他の電子端末から受け取るタイプのものでしたから、少し弄って発信源を特定し、脅しを掛けました

太 宰
内容は?

あなた
「赤レンガ倉庫前の木に括り付けたバッグの中身だけを取りに来い。11時までに来なければお前のことをバラす」と。

太 宰
…なるほど。バッグにその塗料をつけていて、バッグを触った犯人の手に発信塗料がつくようにしたわけか

あなた
御明答。その通りです


太 宰
ふむ……、実にスマートで鮮やかな手口だねえ。最早犯罪者なのか法律主義者なのか怪しいところだよ

あなた
沢山の人の生命がかかっていますからね。手段は選べません


私は電脳機器を閉じ、小さなケースに仕舞う。

あなた
行きましょう太宰さん。ここまで来ては、捕まえるしか無いですよね


立ち上がって、太宰を見て言った。

太 宰
……そうだね。行こう。


太宰の何か言いたげなその表情が見えてはいたが、

見えない振りをして私は歩みを進めた。














太 宰
(合格できるかどうか…。未だ半々といったところだね)




さァ、彼女は一体、どんな挽回を見せてくれるかな?















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